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カクレマショウ

やっぴBLOG

狭軌と標準軌

2007-08-26 | ■その他
多くの人にとっては、まったくどうでもいいことなのでしょうけど、私にはずっと不思議に思っていたことがありました。

それは「ミニ新幹線」の線路の幅についてです。

日本の鉄道線路の幅は、明治以来ずっと、1067mmの「狭軌」でした。世界的には、それより36センチほど広い1435mmの「標準軌」がほとんどで、なぜ日本の鉄道だけが狭軌になったのかについては、いろいろな説があるようです。線路の幅をよく理解しないまま、英国人技師の言いなりに狭軌を採用した大隈重信は、のちに「あれは一生の不覚だった」と語ったそうですが、山間部の多い日本ではむしろ狭軌の方が効率的だったのかもしれません。

日本で初めて本格的に「標準軌」を採用したのが東海道新幹線でした。以後、「新幹線」はすべて標準軌で建設されてきました。新幹線の速さは、標準軌の安定性があってこそ可能ですし、客席の横5列シートによる大量輸送も、従来の狭軌ではできなかったことです。

ただ、新幹線の建設には膨大なコストと時間がかかります。それを低減する工夫として出てきたのが、いわゆる「ミニ新幹線」です。秋田新幹線や山形新幹線のような、既存の在来線を走らせる「新幹線」。秋田新幹線「こまち」は盛岡で、山形新幹線「つばさ」は福島で、それぞれ東北新幹線に直結しています。たとえば、秋田から東京に向かう場合、「こまち」は、盛岡までは在来線の奥羽本線(秋田─大曲)と田沢湖線(大曲─盛岡)を走り、盛岡で東北新幹線の「はやて」に連結されて東京まで行くわけです。

ここで疑問に思うのが、在来線は狭軌、新幹線は標準軌なのに、どうやって「直結」させられるのかという問題です。そもそも、ミニ新幹線って、狭軌、標準軌のどっちで走っているのか?

だいたい、「ミニ新幹線」という呼び名が紛らわしい。いったい、どこまでが「新幹線」なのか。法的、営業的には、「ミニ新幹線」は「在来線」扱いで、「つばさ」や「こまち」はあくまでも「特急」なのだそうです。ただの特急と違うのは、新幹線に直結する「新幹線直行特急」であるということらしい。速度も、通常の特急レベルでしかない(もちろん、新幹線と連結して走るときには新幹線速度になりますが)。

私がずっと思い込んでいたのは、「ミニ新幹線」の走る在来線にはレールが3本敷かれていて、広い幅(標準軌)の方を「こまち」や「つばさ」が走り、狭い方(狭軌)は普通列車が走っているというもの。ところが、田沢湖線の沿線をクルマで走った時にレールを確認してみたら、レールは2本しかなかったのです。

調べてみると、秋田新幹線の場合、開業時に田沢湖線を1年間休業して、全線を「改軌」つまり狭軌から標準軌にしてしまったらしい。もちろん、普通列車をなくすわけにはいかないので、この路線を走る普通列車は標準軌仕様にされたのだとか。なお、奥羽本線の大曲─秋田間は、狭軌レールを残し、標準軌のレールを並行して敷設したのだそうです。山形新幹線も、基本的には同じ仕組みで、全線を改軌して、普通列車は標準軌仕様の車両を走らせているらしい。

ここまで調べるのに、けっこう手間がかかりました。鉄道用語って専門的なので、素人にはよくわからないことも多いですね。でも、普通列車はすべて狭軌だと思い込んでいたことが間違いだったことがよくわかりました。

よくわかったといえば、最近は、「軌間可変電車(フリーゲージトレイン)」と呼ばれる、狭軌・標準軌両方を走れる電車の開発も進んでいるらしい。つまり、電車の車輪の幅が狭軌幅と標準軌幅の間で、レールの幅に従って自由に変化するようにするというもの。狭軌の線路からそのまま標準軌の線路に乗り入れできるため、これが実用化されれば、わざわざ「改軌」をする必要さえなくなります。つまり、「ミニ新幹線」という紛らわしいシステムも必要なくなるということですね。

2010年に青森まで開通する予定の東北新幹線は、秋田や山形が「ミニ」でさっさと開業したのを尻目に、あくまでも「フル規格」にこだわってきました。それはたぶん「正解」だったのでしょうね…。


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