前にも紹介したことがある財団法人日本青少年研究所の国際比較調査。昨年、日本、米国、中国、韓国の4カ国の高校生を対象に実施した調査(高校生の生活意識と留学に関する調査)で、またまた日本の高校生の「自分への自信のなさ」が浮き彫りになっています。
たとえば、「私は他の人々に劣らず価値のある人間である」という問いに「当てはまる」と回答した高校生の割合。
日本 39.7%
米国 79.7%
中国 86.7%
韓国 86.7%
あるいは、「自分をダメな人間だと思うことがあるか」に対して、「当てはまる」と答えた高校生の割合。
日本 83.6%
米国 52.8%
中国 39.1%
韓国 31.9%
かつてに比べたら、好転はしているとはいえ、日本の高校生の「自信のなさ」は相変わらず際立っています。まあ、自分の高校時代を考えても、コンプレックスだらけだったわけで、高校生に自信を持てというのも無理な話、と心の中ではひそかに思ったりするのですが、それでもこんなデータを見せつけられると、これでいいのか?何とかしなくちゃと思う。
前回ブログに書いた時は、「価値」のとらえ方に注目して、「「自分の価値」は、人とのつながりの中でしか見つけられないものだと思う。高校生たち一人一人が、自分の持つ「価値」を自分で見つけていくために、学校があり、地域社会があり、家族がいるのです」なんて書いていました。で、そういう働きかけがまさに「キャリア教育」なのではないかと。それに加えて、今回考えたのは、「大人」側の問題のこと。
つまり、高校生に自信を持てというべき大人自身が、実は自信を失っているのではないかということです。キャリア教育全体に言えることですが、キャリア教育は子ども対象であるだけでなく、大人の社会観も問われます。大人が自分の職業に対する誇りやこれまでの生き方に自信を持っているかどうか、そして、今の社会をどう変えた上で子どもたちに引き渡したいと考えているのか。そういう大人の価値観が問われるものです。大人がどんな未来社会を子どもたちに託したいと考えているのか、そういうビジョンなしにはキャリア教育なんてあり得ない。
日本の高校生の「自信のなさ」は、もしかしたら、自信のない大人社会を反映しているのではないかと思うのです。実は、高校生を何とかする前に、大人の自信を取り戻すことが先ではないかと。またまた「ニワトリとタマゴ」論争になってしまいますが…。でも、私は、大人がちゃんとプライド持って生きていること、そういう身近な大人の背中を見せ続けることで、高校生が、自分でもやれるかも、とか、自分の生きる価値を探そうとか、そんな気持ちになれるのではないかと考えます。
今回の調査では、ちょっと希望が見えてくるような結果も出ています。それは「将来への展望」に関する質問です。確かに、「お金持ちになる」31.4%、「社会に役立つ」25.1%、「高い地位につく」20.0%など、人生に対するアグレッシブな姿勢は、他国に比べるとやっぱり劣ります。でも、「円満な家庭」、「趣味を生かした暮らし」といったいわば「個人的な目標」がやや減少して、「高い社会的地位」など「社会的な目標」が増加傾向にあるという点は、ちょっと注目してもいいかも。
『第四の消費』(朝日選書)によれば、消費をキーに据えて時代の変化を見ていくと、「国家重視」→「家族、会社重視」→「個人重視」ときて、今は「社会を重視」する時代のとば口にいるという。つまり、今後、「人とつながること」に価値を見出す時代がやってくる。「社会」を構成する様々な人間どうしのつながりあい。高校生たちは、そういう時代の訪れを予感しているのかもしれません。
というより、そういう意識の変化は、教育の成果だといってもいいのかもしれません。その因果関係をにわかには明らかにはできませんが、高校生が少しずつ変化しつつあるとすれば、人とのふれあいや体験活動を大前提とするキャリア教育の成果が、ちょっとずつ現れ始めていると言ってもいいのかもしれませんね。
たとえば、「私は他の人々に劣らず価値のある人間である」という問いに「当てはまる」と回答した高校生の割合。
日本 39.7%
米国 79.7%
中国 86.7%
韓国 86.7%
あるいは、「自分をダメな人間だと思うことがあるか」に対して、「当てはまる」と答えた高校生の割合。
日本 83.6%
米国 52.8%
中国 39.1%
韓国 31.9%
かつてに比べたら、好転はしているとはいえ、日本の高校生の「自信のなさ」は相変わらず際立っています。まあ、自分の高校時代を考えても、コンプレックスだらけだったわけで、高校生に自信を持てというのも無理な話、と心の中ではひそかに思ったりするのですが、それでもこんなデータを見せつけられると、これでいいのか?何とかしなくちゃと思う。
前回ブログに書いた時は、「価値」のとらえ方に注目して、「「自分の価値」は、人とのつながりの中でしか見つけられないものだと思う。高校生たち一人一人が、自分の持つ「価値」を自分で見つけていくために、学校があり、地域社会があり、家族がいるのです」なんて書いていました。で、そういう働きかけがまさに「キャリア教育」なのではないかと。それに加えて、今回考えたのは、「大人」側の問題のこと。
つまり、高校生に自信を持てというべき大人自身が、実は自信を失っているのではないかということです。キャリア教育全体に言えることですが、キャリア教育は子ども対象であるだけでなく、大人の社会観も問われます。大人が自分の職業に対する誇りやこれまでの生き方に自信を持っているかどうか、そして、今の社会をどう変えた上で子どもたちに引き渡したいと考えているのか。そういう大人の価値観が問われるものです。大人がどんな未来社会を子どもたちに託したいと考えているのか、そういうビジョンなしにはキャリア教育なんてあり得ない。
日本の高校生の「自信のなさ」は、もしかしたら、自信のない大人社会を反映しているのではないかと思うのです。実は、高校生を何とかする前に、大人の自信を取り戻すことが先ではないかと。またまた「ニワトリとタマゴ」論争になってしまいますが…。でも、私は、大人がちゃんとプライド持って生きていること、そういう身近な大人の背中を見せ続けることで、高校生が、自分でもやれるかも、とか、自分の生きる価値を探そうとか、そんな気持ちになれるのではないかと考えます。
今回の調査では、ちょっと希望が見えてくるような結果も出ています。それは「将来への展望」に関する質問です。確かに、「お金持ちになる」31.4%、「社会に役立つ」25.1%、「高い地位につく」20.0%など、人生に対するアグレッシブな姿勢は、他国に比べるとやっぱり劣ります。でも、「円満な家庭」、「趣味を生かした暮らし」といったいわば「個人的な目標」がやや減少して、「高い社会的地位」など「社会的な目標」が増加傾向にあるという点は、ちょっと注目してもいいかも。
『第四の消費』(朝日選書)によれば、消費をキーに据えて時代の変化を見ていくと、「国家重視」→「家族、会社重視」→「個人重視」ときて、今は「社会を重視」する時代のとば口にいるという。つまり、今後、「人とつながること」に価値を見出す時代がやってくる。「社会」を構成する様々な人間どうしのつながりあい。高校生たちは、そういう時代の訪れを予感しているのかもしれません。
というより、そういう意識の変化は、教育の成果だといってもいいのかもしれません。その因果関係をにわかには明らかにはできませんが、高校生が少しずつ変化しつつあるとすれば、人とのふれあいや体験活動を大前提とするキャリア教育の成果が、ちょっとずつ現れ始めていると言ってもいいのかもしれませんね。
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