カクレマショウ

やっぴBLOG

リカレント教育、がんばれ。

2007-06-08 | ■教育
知り合いが、大学の通信制に入学するのだそうです。

通信制大学は、在宅で大学のカリキュラムを履修でき、一定の単位数を履修すればそれぞれ各専門の「学士」の称号が与えられます。学費も通学課程に比べれば比較的安価であることから、社会人にとっての「再教育」の手段として定着、現在、日本では約26万人が通信制大学で学んでいるそうです。

社会に出てから、より高度な専門知識や最新技術の習得を図るために、大学や大学院などの「学校教育」の場で再び教育を受けることを「リカレント教育」と呼んでいます。もともと、スウェーデンにそうした考え方とシステムがあり、1970年代に経済協力開発機構(OECD)が提唱し世界に普及した教育概念です。

スウェーデンでは、「生涯学習」"life long learning"と言えば、イコール「リカレント教育」なのです。つまり、生涯を通じて職業上のキャリアアップを図ることが生涯学習というわけです。日本の「生涯学習」とはずいぶん意味合いが異なります。日本では、リカレント教育を、「リフレッシュ教育」と言ったりもします。"refresh education"は和製英語ですが、これは特に大学や大学院といった「高等教育機関」における職業人教育を指します。

どんな職業分野でも、それぞれの専門性を高めたり、新しい技術を取り入れたりすることは必要です。また、現場の取組に対して、「理論的な裏付け」が必要になることもあります。そうしたニーズに応えるための研修体系がきちんと整っている分野もあるでしょうが、そういう分野はまれなのかもしれません。そこで、大学や大学院などの高等教育機関の出番となります。一方で、大学で日々積み重ねられている研究成果は、大学内部における教育だけでなく、もっと直接的に社会に生かすことも求められており、そういう意味からも、リカレント教育は日本の教育システムでもっと明確に位置づけられるべきだと思っています。

"recurrent"は「環流」という意味ですから、学校教育と就業とを繰り返すというのが本来のリカレント教育の在り方です。つまり、「入学・卒業」と「就職・辞職」を何度も繰り返すということです。しかし、実際には、大学など教育機関の受け入れ方法が柔軟になったこともあり、辞職・退職をしなくても、在職のまま再教育を受けることの方が主流になっています。「リカレント」ではなくて、「パラレル」ですが、これももちろんリカレント教育と呼んで差し支えないでしょう。

リカレント教育には様々な方法・手段がありますが、通信制の場合は、在宅による自学自習という学習方法が中心となります。一時的ならともかく、何ヶ年もの間、そのスタイルで学習を続けるというのは相当の強い意志が必要でしょう。通信制の卒業率は、平均すれば10%程度だそうです。「孤独な学習」がいかに大変か、しかも勉学だけに集中できるわけではなく、職業人は仕事を、主婦は家事や育児をしながら「並行処理」しなくてはいけないわけですから、その大変さは推して知るべし。でも、そのぶん、卒業した時の喜びも大きいのでしょうね。

社会人がリカレントに一歩足を踏み出すだけでも、私は相当すごいことだと思います。そして、自分を高めようとする力が強い人は、きっと目標を実現する力も強いはずだ、と思っています。苦労して得たものはきっと仕事にも生かせるはずです。がんばって卒業してほしいですね。

 

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