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カクレマショウ

やっぴBLOG

教員採用試験システムと「教育委員会」制度

2008-07-19 | ■教育
大分県の教員採用をめぐる贈収賄事件、まだまだ波紋が広がっていますが、新しい事実を伝える報道に接するたびに、気持ちが暗くなります。

様々なコメントの中で必ず触れられるのが、「大分だけではないのでは?」という感想ですが、そう思われても仕方がないでしょうね。大分県で採用をめぐる金銭の授受が横行していた背景の一つとして、教員採用試験の倍率の高さが挙げられています。でも、それを言うなら、青森県だって大分県以上に高いし、秋田県なんか20年度の採用試験で36.9倍という全国でもっとも高い倍率となっています。そうなると、青森や秋田は大丈夫?と思ってしまいますよね。

もちろん、こういう問題は個々のモラルに期待するしかないのですが、ただ、「不正」はシステムの不備が招くこともあるので、システムの方を、不正ができないようなものにすることも必要でしょう。

「試験」というのは、公平性、透明性が第一。機密の保持は第二でしょう。大分もそうですが、県によっては、正答さえ教えないというところもあるようで、そんなのは「機密の保持」のレベルの話じゃない。仮にも人を「試す」わけですから、試験に関する情報は、できるだけ開示するのが当然でしょう。とりわけ、「採用するかしないか」を振り分ける試験にあっては、「採用されなかった」人が納得する結果の見せ方をするべきでしょう。

今回の事件では、点数の水増しが行われたとのことですが、正答を教えてくれなければ自己採点さえできない。合格最低点数もわからないので、落ちた人は、どのくらい点数が足りなくて落ちたのか、それさえわからない。結果が知らされるまで、非常に曖昧な「手応え」だけを頼りに、不安な気持ちを抱えたまま数ヶ月を過ごすのはつらいものです。かくいう私自身もそうでした。

落ちた人は、「翌年」に向けて再度勉強することになりますが、どこがどう弱かったのか、それも明確にはわからないまま試験勉強をしなければならない。学校では、子どもたちに対して「試験の結果は次に生かすこと」と口を酸っぱくして指導しているのに、採用試験ではそれが必ずしも当てはまらないというのは、矛盾以外のなにものでもない。

いやしくも、県の教育行政の中枢で、半ば当たり前のように不正が行われていたとあっては、もはや個人のモラルに期待するどころではありません。こうなれば、システムの方を厳正な上にも厳正なものにするしか、世間の信用を回復することはできないのではと、それもちょっと悲しい話ですが。

それにしても、こういう時こそ、「教育委員」の出番だと思うのですが。「教育委員会」は、何も「事務局」だけではありません。本来、地方自治体の教育方針に責任を持つべきは、「教員や公務員以外」の教育委員による「教育委員会」のはず。重大な問題については、教育委員が「事務局」を恐れることなく、明快な方策を打ち出すべきと思います。とりわけ、今回のように、「事務局内部」の不正に関する再発防止策が必要とされているのであれば。

まあ、教育委員も、結局は事務局が人選しているわけなので、なかなか難しいのかもしれませんけどね。事務局にすれば、「うるさくない人」が望ましいわけですから。ただ、本来の「教育委員会」の役割を求めようとするなら、日本でも戦後の一時期に行われていたように、委員の「公選」をしなければなりませんね。


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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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教員試験 (日本を憂う)
2008-07-21 14:40:40
大学生の娘が「日本は、世界で最も成功した共産主義の国なんだって」と言われました。
信じられないような金持ちはあまりいないけれど、官僚、上級公務員天国なのだとか。
「大分県の教育委員会、東京の居酒屋タクシー、」ふーん、そうかなって思ってしまいました
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Unknown (やっぴ)
2008-08-02 23:07:21
上級官僚に限らず、だと思いますが、
その世界の習慣にどっぷりはまっていると、いつのまにか「当たり前のこと」になってしまうのでしょう。

甘い汁は、結局は苦くなるのですね。
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