カクレマショウ

やっぴBLOG

「冗談」で「地獄へ直行」?

2007-03-21 | ■教育
3月14日付けの朝日新聞の投書欄に、川崎市のある中学生の投書が掲載されていました。

彼(=「A君」としておきます)の学校の先生が、遅刻の多い生徒の名前を廊下に張り出し、「イエローカード」とか「地獄へ直行」などと張り紙をしていたことが新聞に取り上げられ、問題視された記事に関する投書でした。要するに、あの記事だけでは「伝えられていないこと」があるというのです。

たとえば、その先生が以前授業で「杜子春」を読んでくれたこと、「地獄へ直行」の「地獄」とはその中に出てくる地獄のことだと思ったこと、冗談なのかと軽く受け止めていたこと、記事からはまるで「怖い先生」のように受け止められるが、実は「先生の授業はわくわくしていつも楽しい」こと…。

で、A君、これからは、「記事をそのまま受け止めるのではなく、伝えられていない事実はないのか、なぜこうなったのか、と考えながら読もうと思う」と締めています。

A君は自分の身近な出来事が記事になったことをきっかけに、メディアリテラシーに目覚めた、ということでしょうか。新聞でもテレビのニュースでも、あらゆる情報を「批判的に」とらえようとすることはとても大切なことです。

私もその問題の記事(3月2日付け)を読みましたが、その時も、そして今でも、この「地獄へ直行」はやっぱりよろしくないと私は思っています。たぶん、A君の感じたように、「冗談」だったのかもしれないし、(私に言わせれば)都会的な軽い「ノリ」で掲示しただけなのかもしれません。でも、それは少なくとも「先生」がやるべきことではない。「地獄」は「死」を連想させる言葉です。ましてや「直行」などというのは、「死ね」と言っているのと同じことです。

死をそんなふうに軽々しく扱ってはいけないと思うのです。もちろん、必ずしも、それを使ったのが先生だから、相手が中学生だから、とか、教育的によくないから、ということだけではありませんが、中学生や高校生、果ては小学生までもが、「殺すぞ」とか「死ね」とか、何も「いじめ」に限らず、日常の会話の中で、それこそ「軽いノリ」で使っています。そういう風潮にあって、先生が「地獄へ直行」とは!

A君が、「地獄へ直行」という言葉を日常的に友だちに使うとは思えませんが、少なくとも、「冗談」で使っていい言葉だと受け止めたことは確かです。「冗談」でこそ、使ってはいけない言葉なのに。

もしその先生が「杜子春」から連想して「地獄へ直行」という文句を思いついたのだとしたら、ますますタチが悪い。せっかく読み聞かせた「杜子春」も台無しです。「杜子春」はそんなふうに読まれる小説ではありません。人間にとって「死」とは何か、ということをこの名作から十分読み取ることができるはずです。


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