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コトバの数え方

2006-03-19 | ■世界史
今朝の朝日新聞日曜版「あっと!データ」のテーマは、世界の言語の数。「7000語、学びきれない」と見出しにありますが、「Ethnologue」という世界の言語についてのウェブサイト(英語表記のみ)では、世界の言語の数を「6,912」としているそうです。

「苗字の数」と同じように、「言語の数」といっても、数え方によってずいぶん違ってきます。「何を基準に“別の言語”とみなすか」というのは、考えてみると確かに難しい。

たとえば、日本の言語数は果たしていくつでしょうか?──日本語、アイヌ語、琉球語……??

さっそくEthnologue のサイトにアクセスしてみると、日本の言語数は「15」となっています(新聞では「16言語」と書いてありましたが…?)。えっ、15もあるの? そうか、方言で分けているのか。標準語、北海道弁、津軽弁、栃木弁、広島弁、博多弁、熊本弁、土佐弁、…?? 方言の違いを「弁」って言ってるけど、これって「言語」の違いになるのかナ??

違います。そういうのは言語の違いには含まないようです。正解は次の通りでした(アルファベット順、括弧内はその言語の使用人口)。
1 アイヌ語(15,000 )
2 北部奄美大島語(10,000)
3 南部奄美大島語(1,800 )
4 日本語(121,050,000 )
5 日本語手話(317,000 )
6 喜界語(13,066 )
7 韓国語(670,000 )
8 国頭(くにがみ)語(5,000 )
9 宮古語(67,653 )
10 中部沖縄語(984,285 )
11 沖永良部語(3,200 )
12 徳之島語(5,100 )
13 八重山語(47,636 )
14 与那国語(800)
15 与論語(950)

「手話」もカウントされているのか。ふ~ん。韓国語も確かに、日常的に使っている人の人口は多いですね。

それにしても、「15言語」のうち、11言語までが「琉球諸島」のコトバになっています。与那国語、与論語などは、使用している人の数が1,000人に満たないのですが、それでもそれぞれ1つの言語としてカウントされています。私たちからすればきっと「似たようなコトバ」で、共通する単語も多いのだと推測しますが、言語学的に見ると、別の言語になるということなのでしょうか。「津軽弁」と「博多弁」がどんなに異なった単語やイントネーションであっても、どちらも「日本語」でくくられるのです。

かつて琉球王国の領土だった奄美諸島、沖縄諸島、宮古諸島、八重山諸島の島々には、それぞれ特有の文化が育まれていきました。言語が細かく分類されているのも、そんな歴史的な背景がありそうです。でも、いくら日本語とは違っていても、「沖縄語」という言い方はどうもピンとこない。「日本語」と「沖縄語」ってそんなに違うものかなと。

逆に、新聞にも書いてありましたが、北欧のデンマーク語、スウェーデン語、ノルウェー語はほとんど意味が通じるのだそうです。それもそのはず、元々は3国ともノルマン人が建国した国ですから。それでも別の言語として数えられる。おもしろいものですね。

ちなみに、1つの国の中でもっとも多くの言語が使われている国は、インドだとばかり思っていましたが、実はパプアニューギニアなんだそうです。インドが427言語なのに対して、パプアニューギニアはなんとその2倍近くの820。「どれほどの」違いがあるのかは不明ですが。

いっそ、言語の数え方として、たとえば、「こんにちは」の言い方で数えてみたらどうでしょう。「ありがとう」でも「おはよう」でもいいかも。逆に、人を罵る時のコトバでカウントしてみてもおもしろいかもしれませんね。

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