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やっぴBLOG

トキのつぶらな目。─佐渡紀行(1)

2006-08-22 | ■その他
東京勤務の頃に全国から集まっていた仲間5人が、2年ごとにそれぞれの地元に集まろうという趣旨の会を開いています。今回、その2回目、前回の栃木大会に続く新潟(佐渡)大会が開催されました。おいしい佐渡料理と地酒に舌鼓をうちながら、旧交をあたため合うことができました。

ところで、今回上陸した佐渡。さすがに日本最大の島ですね。船で渡りさえしなければ島であることを忘れてしまうほどの広さです。猛暑の中、レンタカーを駆って、トキの森公園、たらい舟、宿根木の街並み、砂金取り体験、尖閣湾、佐渡金山などなど、佐渡の見所を駆け足で回ることができました。何回かに分けて、佐渡で見たこと感じたことを記していきます。

で、第1回は、トキについて。

トキは漢字で「朱鷺」と書きます。一見、真っ白な鳥のようですが、よく見ると翼の裏側とか薄桃色なんですね。この色が「朱鷺色」なわけです。古名では「桃花鳥」なんて言われていたようです。大きさは白鳥と同じくらいでしょうか。私は、なんとなくツルと同じぐらいの大きさをイメージしてたので、意外と小さいのねー、と思いました。

トキの学名は「ニッポニア・ニッポン」。なんでも、江戸時代に長崎にいたオランダ人医学者のシーボルトがヨーロッパに持ち帰った際に、新種の鳥だというのでこの名が付けられたのだとか。かつては日本中に生息していたのが、乱獲や河川や田んぼの汚染の進行によって絶滅寸前にまでなってしまいます。それが最近のことと思いきや、なんと今から70年以上も前の大正時代末期には既に「濫獲のため其跡を絶てり」なんていう記録もあるようです。昭和初期には佐渡にトキが生息していることがわかり、昭和9(1934)年に天然記念物に指定されています。

それでも、トキの保護が本格的に始まったのはここ30年ばかりのことです。トキの森公園内にある展示資料館には、昭和43(1968)年に捕獲された「最後の1羽」である「キン」の剥製が展示されています。昭和56(1981)年、佐渡に残っていた野生のトキ5羽がすべて捕獲され、「キン」と合わせて、保護センターで飼育されることになりました。

同じ年、中国で7羽のトキが発見されました。トキの激減は日本に限ったことではなく、かつて広く生息していた中国や朝鮮半島でも絶滅が危惧されていました。中国でも保護の対象となっていたのです。日本は、中国から何羽ものトキを借り受け、飼育繁殖が行われていきます。

こうした努力の結果、現在では98羽のトキが保護センターで飼われています。大きな飼育ゲージの中で、たくさんのトキが元気に動き回っていました。もちろん最終的には、かつてのように野生に帰してやることが目的だと思うのですが、エサとなるドジョウや川魚が減っている中で、自然に戻してやることが本当にトキのためになるのかどうか。今の自然界で、トキはちゃんと生きていけるのでしょうか。このところ、クマが里まで下りてきて畑を荒らしているというニュースも増えています。野生のクマでさえ、この真夏に山からエサを求めて降りてくるのです。異常としか言えません。

トキが住めない環境にしたのは人間で、そのトキを人工的に増やしてきたのも人間。人間のエゴに振り回されるトキのまん丸い目が少し哀れに思えました。

 

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