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カクレマショウ

やっぴBLOG

「太陽の塔」の4つの顔

2009-12-18 | ■美術/博物
前回行ったときは、「太陽の塔」のある公園が閉園後だったので、門のところから眺めだだけで泣く泣く帰ってきたのですが、今回、しっかり初接近してきました!

近づくたびに高鳴る胸。その大きさ(高さ65m)、迫力、スタイルの完璧さ、フォルムの美しさに、スゴイ!!という言葉しか出てこない。帰り際に、これから接近しようとする人たちの顔を観察してみたら、みんな、まるで憑かれたかのように太陽の塔からまったく目を離すことなく歩いてきます。その目はきらきら輝いています。きっと、私もあんな顔をして歩いていたのでしょう。





太陽の塔に近づくためには、公園内の歩道をぐるっと回り道しなくてはいけません。その「遠さ」も、もしかしたら計算されたものなのかもと思う。まっすぐ正面から向かうのではなくて、いろんな角度からの見え方を楽しみながら、ゆっくりと近づいていけるように。

太陽の塔は3つの「顔」を持ちます。近くで見ると、遠くから眺めただけでは分からなかった気づきがいくつもありました。



まずは、初めて間近で見た裏側の顔。上下左右に伸びる青みがかった光の真ん中に、不気味な目をした「黒い太陽の顔」がある。この顔は、「過去」を象徴しているのだそうです。1970年の大阪万博のテーマ「人類の進歩と調和」には、そうあって欲しいという未来への希望が込められていますが、「進歩と調和」に至るまでには、もちろん、「停滞と不調和」の過去も存在します。「黒」という色、そしてこの表情が、見つめたくないけど目をそらしてはいけない過去を見事なまでに表しています。

裏側から、直径20mの塔の周りを反時計回りにぐるりと回ってみる。2つめの顔、正面中央に浮き彫りにされた「太陽の顔」の横顔に思わず足を止めてしまう。おでこから鼻筋を通って口元まで縦に貫かれたラインの曲線があまりにも美しすぎて…。



「太陽の顔」は「現在」を表すそうです。ほんとうに、なんと力強い顔でしょうか! 固い意志とたぎる熱情を秘めて、「現在」を見据える顔。その真横にすっくと左右に伸びた腕(もしくは翼)は、私にとっては、常にこの顔とセットに見えます。あまねく世界を見つめる顔と腕。「太陽の顔」の両側に縦に伸びる赤いラインは、さしずめ「現在」から「未来」への道しるべでしょうか。

ちょうど正面に回り込んで、ずっと首を曲げて上を見ていくと、塔のてっぺんで輝く金色の顔がまぶしい光を放っています。これは「未来の顔」。金ピカの板を何枚も貼り合わせて直径10.6mものお椀形にしてあります。胴体部分から、首だけちょっと前に突き出したところに取り付けられています。顔の中央には、BSのアンテナよろしく、金属製の棒が突き出しています。今回、下から眺めてみて、この顔は人工衛星もしくはそのアンテナのようにも見えることに気づきました。まさに「未来」を象徴する顔だよなあと改めて思いました。



それから、気づいたことがもう一つ。顔を構成している金色の板をぴったりとすき間なく貼り合わせる技術なんかは、もしかしたら大阪の下町の職人たちの手によるものかもしれない…。もしそうだとしたら、ますます「未来」にふさわしい顔です。

この3つの顔のほかに、実は、万博の会期中、塔の内部に「第4の顔」がありました。「地底の太陽の顔」です。やはり金色で、直径3m、左右には最大13mにも及ぶコロナの光。ところが、「地底の太陽の顔」は、長く行方不明になっているのだとか。それにしても、「明日の神話」もそうでしたが、岡本太郎の作品って、なぜか行方不明になっているものが多いよなあ…。

先日の報道によれば、来年、2010年に予定されている万博40周年の記念イベントに向けて、万博記念機構は、「地底の太陽の顔」の“捜索”に本格的に乗り出すらしい。万博終了後から個人の手に渡り、その後行方知れずになってしまったようですが、最後の“目撃情報”は、「平成5年(1993年)に兵庫県加東市の県立教育研修所で放置されていた」のだとか。「放置されていた」というのもすごい話です。そもそも、これだけのデカい作品が行方不明ということ自体が、どうにも解せない話ですけどね!

ほんとにどこかの「地底」に眠っていたりしたら面白いのですが。とにかく、一度見てみたいと思うし、見つかってほしいですね。

さて、今年で3年目を迎える大阪芸術大学プロデュースによる「イルミナイト万博」、この冬は12月20日~24日の日程で開催されるようです。今回のテーマは「未来記憶圏からの目覚め・冬」。太陽の塔全体をキャンバスに繰り広げられる光と音のアート。どんな夢と幻想を見せてくれるのか、楽しみです。



 


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