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カクレマショウ

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万博の歴史

2007-03-25 | ■世界史
今から37年前の1970年3月14日、大阪で日本万国博覧会が開幕しました。9月13日までの半年間の会期中、訪れた人は延べ6421万8770人。これは万国博覧会史上最多の記録だそうです。

大阪万博のシンボルとも言えるのが、岡本太郎による「太陽の塔」。万博当時に作られた建物のうち、今も残る唯一の建造物ですが、雨ざらしの上、現在はすぐ近くを高速道路が通っていることもあって、環境的にはそれほど快適な余生を送っているとは言えないようです。1992年に外壁の大規模な補修がされていますが、この春からは内部の「精密検査」が行われるのだそうです。内部には、高さ50mの「生命の樹」という作品がありますが、内部観覧もしばらく休止されるようです。

ところで、博覧会(Exposition)とは、人間が創り出した文明の象徴とも言える物品を一堂に会して展示する催しのこと。古くは古代エジプトやペルシア、ローマなどで、国王や皇帝が権力を誇示するために芸術作品や戦利品を民衆に示していたことや、ルネサンス期のヨーロッパで開催された「物産展」も、広い意味では「博覧会」と言えなくもありませんが、現在のような国際的・平和的な博覧会は、産業革命を契機に誕生したと言っていいでしょう。日本では大阪万博以来、略して「バンパク」と呼ばれるようになりましたが、「万国博覧会」(正式には「国際博覧会」)の歴史は19世紀に始まるのです。

フランスでは18世紀以前から「国内博覧会」は何度か開催されていましたが、「国際博覧会」の記念すべき第1回が開かれたのは、1851年のロンドンでした。英国は、折しもヴィクトリア女王のもとで「第2期黄金時代」のまっただ中。会場のハイドパークにそびえ立つ壮麗な「水晶宮」(クリスタルパレス)が人々の注目を浴びました。

第2回はニューヨークで開催(1853年)。米国もまた、西部開拓が進展し、国力を蓄え始めた時期でした。ちなみに米国ではその後、米国独立100周年を記念したフィラデルフィア万博(1876年)、コロンブスの“新大陸発見”400周年を記念したシカゴ万博(1893年)、ルイジアナ買収100周年記念のセントルイス万博(1904年)、パナマ運河開通記念のサンフランシスコ万博(1915年)など、「記念万博」が開催されています。

万博をもともと提唱した国フランスは第1回大会こそ英国に譲ったものの、1855年、1867年、1878年、1889年、1900年と19世紀後半の50年間だけで実に5回もの「パリ万博」を開催しています。1855年万博では工業機械のコンクールが行われ、米国のアイザック・シンガー氏が出品したミシンが金賞を受賞しました。1878年万博では、エジソンによって発明されたばかりの蓄音機が出品。1889年万博はフランス革命100周年を記念して開催されたものですが、その「目玉」として建設されたのがエッフェル塔でした。またこの時には、エジソンの白熱電球が夜間照明で大活躍しました。1900年万博では動く歩道や地下鉄も登場します。

19世紀後半から20世紀初頭にかけての万博は、産業革命とそれに伴う技術革新の成果の発表会の様相が濃かったのですが、一方では、文化・芸術面の交流も活発でした。1867年パリ万博には、初めて日本からの出品が登場しますが、フランスの文化・芸術界で「ジャポネスク」が流行するきっかけを作ったのは万博だと言われています。1937年のパリ万博ではピカソの「ゲルニカ」が出展され、人々の耳目を集めました。

第一次世界大戦後から、万博は「テーマ性」を持ったものに様変わりしていきます。たとえば、1933年のシカゴ万博のテーマは「進歩の世紀」。1958年のブリュッセル万博では「科学文明とヒューマニズム」、1962年のシアトル万博は「宇宙時代の人類」など、時代を反映したテーマがそれぞれ設けられています。1970年の大阪万博のテーマは「人類の進歩と調和」。その前年にアポロ11号が月に着陸し、「人類にとっての大きな1歩」を月面に記しました。あの時代にぴったりのテーマではなかったかと思います。進歩も調和もまだ信じることができた時代。ただ、あれから30年以上を経て、果たして「人類」が本当に「進歩」し、「調和」を保ってきたかというと、それははなはだ疑問ですが…。

19世紀にはまるでブームのように頻繁に開催されていた万博ですが、2005年の愛知万博(愛・地球博)のように、開催そのものに対する反対運動が起こるようにもなっています。「自然の叡智」をテーマとし、環境問題を考える万博。その会場を作るために自然環境を破壊するというのは、どう考えても不自然だし矛盾していました。

2010年には上海万博が開催されるそうです。テーマは「より良い都市、より良い生活」。「都市」そのものをテーマにした万博はこれまで例がないとか。700年以上の歴史を持つ都市・上海は、どんなメッセージを投げかけてくれるのでしょうか。

 

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