
最近よく見かけるのがコミックのドラマ化です。ドラマ化向きの漫画が増えているということなのかもしれないけど、逆に、オリジナルの良質な脚本を書ける人が少なくなっているのかなあとも思う。ちょっとコミックに頼りすぎ…のような気がしないでもない今日この頃。
まあ、それはそれとして、ちょっと前にNHKで放送されていた「とめはねっ! 鈴里高校書道部」(6回シリーズ)もコミックが原作でした。コミックの方は読んでいませんが、ドラマはなかなかベタな展開で、面白く見ていました。
「とめはね」というのは、書道の基本である「とめ」と「はね」のこと。このドラマは、高校の書道部の話です。書道部って、同じ芸術系の美術部とか音楽部(吹奏楽部、合唱部)に比べても、さらにマイナーですよね。美術部なら、文化祭でポスターを描いたり、壁画を作ったりとまだ「活躍」の場面があります。音楽系の部活も、発表会やコンクールなど、舞台で脚光を浴びる機会があります。あと、放送部も校内放送だけやっているわけではなくて、テレビ番組の制作のための取材など、意外と「活動的」な部活動なんです。
ところが、書道部って、あまりにも学校の中でオモテに出る場面が少ない。書道室にこもり、精神を集注させて、ひたすら筆を走らせているというイメージ。挙げ句の果ては、展示された作品を見ても、何て書いてるんだか読めないと言われる始末。このドラマの初回でも、新入生に対する部活動の紹介のシーンで、主人公・望月結希が、そんなことを言う場面が出て来ましたね。
これではいけない、と思ったかどうか分かりませんが、数年前から「パフォーマンス書道」というのが登場しています。巨大な紙に、10人前後の書道部員(多くは女子です)が分担して書をしたためていく。「パフォーマンス」というだけあって、音楽に合わせて振り付けして踊ったりもする。墨も黒だけでなく、オレンジとか水色とかピンクとか、カラフル。もちろんアルファベットもOK。そうして、数分間のパフォーマンスで、一枚の作品を完成させていく。
愛媛県の四国中央市では、「紙祭り」のイベントとして、2008年から「全国高校書道パフォーマンス選手権大会(通称:書道パフォーマンス甲子園)」というのを始めています。また、日テレは、この大会の様子を「ズームイン!!スーパー」で採り上げたところ、反響が大きかったことから、独自に「書道ガールズ甲子園」というのをやるらしい。「書道ガールズ!! わたしたちの甲子園」という映画(主演:成海璃子)の公開に合わせて、5月に開催するのだとか。
ネットでもパフォーマンスの映像を見ることができますが、ダンスや衣装はともかく、作品自体はなかなか迫力があります。あくまでも基本は「書道」ですから、審査の主眼が書の良し悪しそのものにあることは間違いないのですが、全体のバランスや色の使い方など、各校それぞれに工夫されていて、感心させられます。ああいう大きな筆を使って書くのを「大字(おおじ)」と呼ぶのだそうですが、基本は同じとはいえ、机の上で書くのとはまた違った苦労があるんだろうなあと思いました。
さて、このドラマですが、部員不足に悩む「鈴里高校書道部」に、ひょんなことから、1年生ながら柔道部のエースである望月結希が入部することになる。彼女は、自分の字にコンプレックスを持っていて、書道も全く興味はなかったのですが、これまたひょんなことから入部することになるクラスメートの大江縁(ゆかり=男子。カナダからの帰国子女)とともに、次第に書道の奥の深さを知っていく。二人は、先輩3人を助け、廃部寸前だった書道部を盛り立てていくが、彼女たちの前に立ちはだかるのが、近くにある鵠沼学園高校書道部。その部長・日野よしみは、鈴里高校書道部部長の日野ひろみの双子の姉妹だが、性格は正反対で、「ブラック日野ちゃん」と呼ばれている。
何かにつけ張り合う両校のライバル関係を見守るのが、書家・三浦清風。彼が、両校の対決の場として、「母」という字を5人が1画ずつ書けという課題を出すシーンが非常に面白かった。鈴里高校のトップバッターを任された結希は、いきなり書き順を間違ってしまうのです。ところが、そのあとの縁が機転をきかせて、何とか「母」の字を完成させる。結果的に、清風先生の判定は引き分け。漢字のいろいろな書体の妙を感じた場面でした。
ストーリーの端々に、書道の基本あれこれが紹介される場面があって、そちらも興味深かったですね。書道のルーツは中国。だからお手本は今でも中国の書がほとんどなのですが、日本で生まれた書もある。「かな書」です。かなは、漢字を崩してできた文字とはいえ、「かな書」は漢字とはまた違った難しさがあるようですね。しかも日本語表記は、「漢字かな混じり文」がほとんどなので、書もバランスが難しい。パフォーマンス書道の作品には、高校生たちのメッセージが表現されますが、当然漢字かな交じり文になるわけで、そういう意味でも、パフォーマンス書道は、いかにも日本的な書道のスタイルなのかもしれません。
このドラマのクライマックスは、やはり「書道甲子園」。結希たちが選んだ曲は、サザン・オールスターズの「希望の轍」。もちろん、高校生の彼らは初めて聴く曲です。その背景には、やはりともに高校の書道部員だった結希の母親と縁の父親の若い頃の思い出が…。子どもたちが、この曲に再び「夢を乗せて」いく、という設定には泣かされますね。いい曲ですもんね、ほんと。あの美しすぎるイントロがたまらない。
夢を乗せて走る車道
明日への旅
通り過ぎる街の色
思い出の日々…
まあ、それはそれとして、ちょっと前にNHKで放送されていた「とめはねっ! 鈴里高校書道部」(6回シリーズ)もコミックが原作でした。コミックの方は読んでいませんが、ドラマはなかなかベタな展開で、面白く見ていました。
「とめはね」というのは、書道の基本である「とめ」と「はね」のこと。このドラマは、高校の書道部の話です。書道部って、同じ芸術系の美術部とか音楽部(吹奏楽部、合唱部)に比べても、さらにマイナーですよね。美術部なら、文化祭でポスターを描いたり、壁画を作ったりとまだ「活躍」の場面があります。音楽系の部活も、発表会やコンクールなど、舞台で脚光を浴びる機会があります。あと、放送部も校内放送だけやっているわけではなくて、テレビ番組の制作のための取材など、意外と「活動的」な部活動なんです。
ところが、書道部って、あまりにも学校の中でオモテに出る場面が少ない。書道室にこもり、精神を集注させて、ひたすら筆を走らせているというイメージ。挙げ句の果ては、展示された作品を見ても、何て書いてるんだか読めないと言われる始末。このドラマの初回でも、新入生に対する部活動の紹介のシーンで、主人公・望月結希が、そんなことを言う場面が出て来ましたね。
これではいけない、と思ったかどうか分かりませんが、数年前から「パフォーマンス書道」というのが登場しています。巨大な紙に、10人前後の書道部員(多くは女子です)が分担して書をしたためていく。「パフォーマンス」というだけあって、音楽に合わせて振り付けして踊ったりもする。墨も黒だけでなく、オレンジとか水色とかピンクとか、カラフル。もちろんアルファベットもOK。そうして、数分間のパフォーマンスで、一枚の作品を完成させていく。
愛媛県の四国中央市では、「紙祭り」のイベントとして、2008年から「全国高校書道パフォーマンス選手権大会(通称:書道パフォーマンス甲子園)」というのを始めています。また、日テレは、この大会の様子を「ズームイン!!スーパー」で採り上げたところ、反響が大きかったことから、独自に「書道ガールズ甲子園」というのをやるらしい。「書道ガールズ!! わたしたちの甲子園」という映画(主演:成海璃子)の公開に合わせて、5月に開催するのだとか。
ネットでもパフォーマンスの映像を見ることができますが、ダンスや衣装はともかく、作品自体はなかなか迫力があります。あくまでも基本は「書道」ですから、審査の主眼が書の良し悪しそのものにあることは間違いないのですが、全体のバランスや色の使い方など、各校それぞれに工夫されていて、感心させられます。ああいう大きな筆を使って書くのを「大字(おおじ)」と呼ぶのだそうですが、基本は同じとはいえ、机の上で書くのとはまた違った苦労があるんだろうなあと思いました。
さて、このドラマですが、部員不足に悩む「鈴里高校書道部」に、ひょんなことから、1年生ながら柔道部のエースである望月結希が入部することになる。彼女は、自分の字にコンプレックスを持っていて、書道も全く興味はなかったのですが、これまたひょんなことから入部することになるクラスメートの大江縁(ゆかり=男子。カナダからの帰国子女)とともに、次第に書道の奥の深さを知っていく。二人は、先輩3人を助け、廃部寸前だった書道部を盛り立てていくが、彼女たちの前に立ちはだかるのが、近くにある鵠沼学園高校書道部。その部長・日野よしみは、鈴里高校書道部部長の日野ひろみの双子の姉妹だが、性格は正反対で、「ブラック日野ちゃん」と呼ばれている。
何かにつけ張り合う両校のライバル関係を見守るのが、書家・三浦清風。彼が、両校の対決の場として、「母」という字を5人が1画ずつ書けという課題を出すシーンが非常に面白かった。鈴里高校のトップバッターを任された結希は、いきなり書き順を間違ってしまうのです。ところが、そのあとの縁が機転をきかせて、何とか「母」の字を完成させる。結果的に、清風先生の判定は引き分け。漢字のいろいろな書体の妙を感じた場面でした。
ストーリーの端々に、書道の基本あれこれが紹介される場面があって、そちらも興味深かったですね。書道のルーツは中国。だからお手本は今でも中国の書がほとんどなのですが、日本で生まれた書もある。「かな書」です。かなは、漢字を崩してできた文字とはいえ、「かな書」は漢字とはまた違った難しさがあるようですね。しかも日本語表記は、「漢字かな混じり文」がほとんどなので、書もバランスが難しい。パフォーマンス書道の作品には、高校生たちのメッセージが表現されますが、当然漢字かな交じり文になるわけで、そういう意味でも、パフォーマンス書道は、いかにも日本的な書道のスタイルなのかもしれません。
このドラマのクライマックスは、やはり「書道甲子園」。結希たちが選んだ曲は、サザン・オールスターズの「希望の轍」。もちろん、高校生の彼らは初めて聴く曲です。その背景には、やはりともに高校の書道部員だった結希の母親と縁の父親の若い頃の思い出が…。子どもたちが、この曲に再び「夢を乗せて」いく、という設定には泣かされますね。いい曲ですもんね、ほんと。あの美しすぎるイントロがたまらない。
夢を乗せて走る車道
明日への旅
通り過ぎる街の色
思い出の日々…
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