画家梅原龍三郎氏の作品に「北京秋天」という作品がある。この作品があまりに有名であるために、私たち日本人は秋の晴天をさして、「北京秋天だ。」と感想を述べるのである。たぶん、梅原氏が画筆を振るっていたころの北京はきれいな澄み切った空であったのだろう。北京をこよなく愛した日本画家は多い、東山魁夷氏や平山郁夫氏などの絵画には多くの当時の北京の風景が描かれている。例えば、「天安門遠望」「北京新緑」「故宮良夜」「長城に登る」等々である。しかし、現在の北京には空が無いという。殺人スモッグに覆われ、最近のニュースでは、そのために、８歳の少女が肺がんになってしまったという。中国社会科学院などが公表した１３年の「気候変化緑書」にはスモッグが死亡率を高め、呼吸器・循環器系の疾病を悪化させるといった従来の考えに加え、生殖能力にも影響を与えると書かれていて、大きな反響を与えている。男性の多くは肺がんになるよりも、セックスのできなくなる体になることのほうが耐えられない。だから、従来、この問題におとなしかった人たちが、急に怒りをあらわにし始めた。政府への批判は強くなっているのである。多くの人、特に女性には分からない感情の変化かもしれないが、私には彼らの気持ちが十分に分かるのである。
Y-FP Office Japan
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