リトアニアで北大西洋条約機構（NATO）首脳会議が開かれていたのだが、そこで注目を集めたのが、トルコのエルドアン大統領の西側へと大きくウイングをとる動きだ。これまではロシアとの中立的な態度を取り、それがある意味、ロシアのプーチン大統領のよりどころにもなっていたのだが、今回は違う。まず、ロシアとの合意を破棄してまで進めたウクライナの精鋭部隊とされる「アゾフ大隊」の元司令官ら5人をトルコからウクライナに帰還させたことだ。そして、その過程で、ウクライナのNATO加盟を支持する立場を表明した。さらに、これまでさんざん、ごねてきたスウェーデンのNATO加盟を容認する姿勢に転じたのだ。この裏には何があるのだろうか。エルドアン氏の脳裏に、このままではロシアは持たないと判断したのかもしれない。2022年のトルコからロシアへの輸入高は前の年の1.6倍以上に急増するなどロシアは侵攻以降、経済的にもトルコに大きく依存している。これがロシア政府もトルコと対立するわけにいかず、どんない不満あろうが、腰を引かせているのである。（くちなし亭、2023.07.13）
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