藤井颯太さんが名人位を獲得し、将棋界の7冠を達成した。藤井さんはＡＩを超える存在とされている。ＡＩが人類を超える日は近く、それが人類の脅威になるという不安が私たちを覆っている。だが、藤井さんの出現がその不安を払しょくしてくれるのではないかと思えるのである。考えてみれば、ＡＩとは将棋でいえば、定石の塊である。多くの人が積み重ねてきた勝利への方程式である。その定石を藤井名人は覆してきたのである。だから、ＡＩが考えもしなかった差し手で、勝利をすることもしばしばだったのである。翻って、ＡＩを利用する社会が定着するとして、そこには必ず息詰まる問題が発生する。その問題を新たな天才が出現し、革新していくに違いないのである。その天才の数が多ければ多いほど、私たちの未来は明るいのである。（くちなし亭、2023.06.03）
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