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マーラー 亡き子をしのぶ歌/トゥーレル,バーンスタイン&ニューヨークPO

2007年02月26日 00時05分01秒 | マーラー+新ウィーン
 今回のマーラー第5特集の副産物として、これまでどうにも馴染むことの出来なかった「亡き子をしのぶ歌(Kindertotenlieder)」を何となく好きになれたことがあげられます。この曲はマーラーの中期交響曲と主題とかムードとか比較的密接な関係があるそうですから、第5を集中的に聴いたせいで、この連作歌曲を好きになれる下地ができたと、勘ぐって勘ぐれないこともないですが、恐らくあまり関係なく、単なる偶然でしょう(笑)。ともあれ、この全編に渡って沈痛なムードが充満し、これといった起伏のない冴えない作品と思っていたこの連作歌曲集がしっくりと耳に届き、「あぁ、いい曲だなぁ」と思えるようになったのは、私としては快挙です。という訳で自分用のメモとして、この連作歌曲集の5曲を内容をちょっとメモっておきたいと思います。

1楽章「いま太陽が燦々と昇ぼろうとしている」
 クラリネットのもの悲しい旋律で幕を開けることの曲は、どことなく厳かでそこはかとないエキゾチックなムードがあって独特な美しさがあるけど、それは第6番の第3楽章のそれに酷似している....というかそのものである。どうしてこれまで気がつかなったのだろう。ついでにいうと第5番の第一楽章の終盤近く、この曲と同一テーマが出てくるのは有名な話。

2楽章「いま私はわかった。なぜそんな暗い炎を」
 前曲が第6番の緩徐楽章に似たムードだとすると、こちらは第5番の「アダージェット」に近いような気がする。また「トリスタンとイゾルデ」の前奏曲に似た緊張感のようなものもある。全体としては既視感と官能が交錯する流れの中で、歌は何度か絶叫しかけるが、その都度諦めの中に消えていく。

3楽章「おまえたちのおかあさんが戸口から歩み入るとき」
 哀愁のある旋律でムードもオーケトレーションも1楽章に近い感じ。寂寥感感あふれる木管楽器とボーカルの絡みが絶妙。重い足取りを感じさせる律動がちょっと「さすらう若人の歌」の第3曲を思い起こさせるものがある。

4楽章「よく私は子どもらはただ散歩に出かけただけだと考える」
 これも第6番の緩徐楽章に非常に似たムードがあるが、色彩的にはやや明るめ、楽曲の推移としてもこの曲あたりで曙光が見えてくるというところなんだろうか。

5楽章「こんな嵐のような天候の中へ」
 こちらは第6番の第1楽章のダイナミズムを思わせるオーケストレーションが特徴か、これまでずっと抑圧してきて、ここに来てそれが解放されるような趣があるけれど、明るい結末というよりは、暗い決意のようなものを感じさせるが、最後の最後でなんとか長調で安寧なムードで結ばれるにはほっとする。

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