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坂本龍一/BTTB -international version-

2009年11月03日 20時59分36秒 | JAZZ-Piano Trio
 20代、30代の頃には我が家には主に音楽を聴きに、けっこう沢山の知人や友人達が訪れて、音楽についてあれやこれや話込んだものだった。しかし、結婚すると子育てだのなんだのできっと忙しくなってしまうのだろう。音楽などに費やす時間などは欲しくても手に入らないせいで、40代も過ぎる頃になると自宅への来客もめっきり減ってしまい、音楽はもっぱらひとりで聴くことが多くなった。もっとも、私の場合、調度そのあたりからパソコン通信だの、ネットだので、今度は「ネットの向こう側にいる誰か」に向かって、あれこれと音楽談義をするようになったから、「音楽について誰かに語ること」について、あまり強烈な飢餓感を感じたことはないが、それでもたまに自宅に誰か遊びに来て、久方ぶりに音楽談義に花が咲くのは、昔に戻ったようでやはり楽しい。

 さて、本日、大昔に打ち込みだのなんだので、よく「一緒に遊んだ」知人が自宅に久方ぶりに現れて、前述のようにあれやこれやと音楽談義に花が咲いたのだが、途中で話題に出たのが、「病院のBGM」ということだった。病院のロビーだの待合いコーナーなどでかける音楽である。話によれば、その病院では有線などに頼らずお手持ちもソースを持ち寄ってBGMに使っていたらしいのだが、ありがちな癒しがどうしただの、マタニティなんとかという安直な出来合のCDを導入したものの、繰り返して聴くにはさすがに勤務している方が飽きてしまい、こういう環境向けに他にもっと何かいい音楽はないか....みたいな話になったのである。そこで私がちょっとの間、黙考して推薦した音楽は、クラシックではロッシーニの弦楽ソナタ、メンデルゾーンの弦楽交響曲、ダウランドのリュート音楽、ジャック・ルーシェの「プレイバッハ」シリーズ、ユーロピアン・ジャズ・トリオのビートルズ集などなのだが、そのうちの一枚がこの「BTTB」なのであった。

 坂本龍一のピアノ音楽といえば、ごく初期のソロ・アルバムから度々度々収録されていたけれど、ほとんど全編ピアノ・ソロで構成されたアルバムというのは、考えてみると83年の「戦場のメリー・クリスマス」のピアノ以来、実に16年振りだったように思う。当時の坂本は室内楽風なサウンドやオーケストラなど確実にアコースティックな楽器に比重を置いていた時期だったので、ピアノ・ソロというのも必然的な成り行きだっただろうと思うのだが、とにかく出来上がった音楽はアンビエントと呼ぶにはもう少し音楽主義的、だが、とげとげしさの全くない瞑想的なもので、こうした坂本の音楽を待っていた人には待望のものだったのではないだろうか?(私もそのひとりだったハズなのだが、記憶によれば、私は「スムーチー」以降坂本に対する関心が相対的に低下していたようで、このアルバムも実はあまり印象に残っていない)。

 ともあれ、病院用のBGMということで、久々に聴いてみたこのアルバム。実はこのアルバム、一聴して放置してあったもので、ほとんど初めて聴くようなものだが、病院用のBGMとしてはちと瞑想的すぎるような気もするが、私の大好きな「ピアノ・ワン」をひとりでやってしまったような内容で、なかなかの仕上がりだ。私のもっているのは「BTTB」と「ウラBTTB」を併せたようなインターナショナル版だが、「ウラBTTB」の3曲を頭にもってきて、比較的メロディックに始まり、次第に難解な音楽(プリペアド・ピアノを使った曲なども登場)?になっていく構成は、商品としてはいい仕上がりになったと思う。個人的にはコラールの一番、二番、ブラームス風なインテルメッツォあたりが良かったかな。でも、こういう曲を流している病院....って、普通の人にとってはどうなのだろう?。
 

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