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1先の16日にハンク・ジョーンズが亡くなった。つい先頃も来日して元気にピアノを弾いていたらしいが、ジャズ史の生き証人みたいな彼ももう91歳だったというから、かなりの高齢だった訳だ。ハンク・ジョーンズといえば、日本ではなんといっても1977年にロン・カーターとトニー・ウィリアムスを従えて結成されたグレイト・ジャズ・トリオ(GJT)でもって一躍有名になった人である。もちろん大歌手の歌伴やチャーリー・パーカーやJATP、マイルス、ついでにエド・サリバン・ショーのハウス・ピアニストだったりしているから、それなりの知名度は当然あっと思うが、やはりこのトリオが出るまでは、同系統のトミー・フラナガンより地味な存在だったとはずだ。なんだかんだといいつつも、日本でハンク・ジョーンズといえば、やはりGJTなのである。
このグレイト・ジャズ・トリオだが、ハンク・ジョーンズ以外のふたりは手を替え品を替えといった感じで本当にいろいろと変わった。またそれに伴って出されたアルバムもかなりの数に登るはずだが、個人的に一番好きなアルバムは、77年に出た「再訪~ライヴ・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード Vol.1&2」の2枚である。前述の通りGJTはロン・カーターとトニー・ウィリアムスを従えて結成された訳だけれど、このふたりはほどなくこのトリオからは離脱、その後任に収まったエディ・ゴメスとアル・フォスターとで、再びヴィレッジ・ヴァンガードでのライブ録音を敢行し(だから「再訪」という邦題がついた)、それで出来上がったアルバムがこれという訳だ。ちなみに私は今聴いているのは、この2枚から7曲が選ばれた編集盤であるが…(オリジナルは10年以上も前に一度CD化されたまま、廃盤が続いている)。
さて、この「再訪」だが、Vol.1は「恋に落ちたとき」から始まる。しっとりしたバラードとして演奏されることが多い同曲を、軽快にスウィングするナンバーとしてアレンジしているのがユニークだし、ジョーンズの都会的で端正なピアノと実にマッチしていると思う。ベース・ソロの後のスウィング感一杯のソロも快調だ。「ワルツ・フォー・デイビー」では、エヴァンス的な耽美さより、都会的な洗練を感じさせる優美なアレンジでこれまたジョーンズらしい演奏になっている。耳タコな名曲「枯葉」では、玉を転がすようなフレーズで少し遊んだ後、何気なくあのテーマを出すあたりの余裕ある呼吸感が、いかにも大ベテランだ。テーマはさりげなく流し、すぐさまインプロに突入していくのが、テーマからつかず離れずのプレイには風格すら感じさせる。
Vol.2は「バイ・バイ・ブラックバード」を先の「恋に落ちたとき」同様ミディアム・テンポの軽快にスウィングするナンバーとして演奏。そういえば、アル・フォスターの4ビート・ドラムといえば、やはりこのアルバムあたりが「走り」となるのではないだろうか。まだまだマイルスのバンドでやっていた時期ではあるが、8ビート系ドラミングとはうってかわってエレンガントなシンバルやブラッシュ・ワークは既にこの時期に出来上がっている。モンクの「ルビー・マイ・ディア」はムーディーでアレンジ、まあ、モンクにしてはちと洗練され過ぎな感もあるが…。ラストの「グッバイ」はラストに飾るに相応しいバラード・プレイでジョーンズにして、切々したピアノ・プレイでこれも聴きどころだ。
そんな訳で、初代GJTのライブの影に隠れて、全く顧みられないアルバムであるが、もう少し評価されてもいいのではないだろうか。その後のGJTはややスタンダード路線に埋没してしまったところはあるものの、このアルバムの頃はまだまだ新鮮だったし、音楽的な充実度も高かったように思う。また、これ以降、その後ケニー・ドリューとかがこういうアルバムを沢山だし、「日本発のお洒落なピアノ・トリオ」はある種ブームになるが、これなどその先鞭をつけたアルバムという側面もあると思う。
かくゆう私がこの種のカクテル風なジャズの楽しさを知ったのも、実はこのアルバムだった(と思う)。なので、ハンク・ジョーンズといえば、私はまずこれを思い出すのだ。ともあれ、彼の冥福を祈りたい。
このグレイト・ジャズ・トリオだが、ハンク・ジョーンズ以外のふたりは手を替え品を替えといった感じで本当にいろいろと変わった。またそれに伴って出されたアルバムもかなりの数に登るはずだが、個人的に一番好きなアルバムは、77年に出た「再訪~ライヴ・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード Vol.1&2」の2枚である。前述の通りGJTはロン・カーターとトニー・ウィリアムスを従えて結成された訳だけれど、このふたりはほどなくこのトリオからは離脱、その後任に収まったエディ・ゴメスとアル・フォスターとで、再びヴィレッジ・ヴァンガードでのライブ録音を敢行し(だから「再訪」という邦題がついた)、それで出来上がったアルバムがこれという訳だ。ちなみに私は今聴いているのは、この2枚から7曲が選ばれた編集盤であるが…(オリジナルは10年以上も前に一度CD化されたまま、廃盤が続いている)。
さて、この「再訪」だが、Vol.1は「恋に落ちたとき」から始まる。しっとりしたバラードとして演奏されることが多い同曲を、軽快にスウィングするナンバーとしてアレンジしているのがユニークだし、ジョーンズの都会的で端正なピアノと実にマッチしていると思う。ベース・ソロの後のスウィング感一杯のソロも快調だ。「ワルツ・フォー・デイビー」では、エヴァンス的な耽美さより、都会的な洗練を感じさせる優美なアレンジでこれまたジョーンズらしい演奏になっている。耳タコな名曲「枯葉」では、玉を転がすようなフレーズで少し遊んだ後、何気なくあのテーマを出すあたりの余裕ある呼吸感が、いかにも大ベテランだ。テーマはさりげなく流し、すぐさまインプロに突入していくのが、テーマからつかず離れずのプレイには風格すら感じさせる。
Vol.2は「バイ・バイ・ブラックバード」を先の「恋に落ちたとき」同様ミディアム・テンポの軽快にスウィングするナンバーとして演奏。そういえば、アル・フォスターの4ビート・ドラムといえば、やはりこのアルバムあたりが「走り」となるのではないだろうか。まだまだマイルスのバンドでやっていた時期ではあるが、8ビート系ドラミングとはうってかわってエレンガントなシンバルやブラッシュ・ワークは既にこの時期に出来上がっている。モンクの「ルビー・マイ・ディア」はムーディーでアレンジ、まあ、モンクにしてはちと洗練され過ぎな感もあるが…。ラストの「グッバイ」はラストに飾るに相応しいバラード・プレイでジョーンズにして、切々したピアノ・プレイでこれも聴きどころだ。
そんな訳で、初代GJTのライブの影に隠れて、全く顧みられないアルバムであるが、もう少し評価されてもいいのではないだろうか。その後のGJTはややスタンダード路線に埋没してしまったところはあるものの、このアルバムの頃はまだまだ新鮮だったし、音楽的な充実度も高かったように思う。また、これ以降、その後ケニー・ドリューとかがこういうアルバムを沢山だし、「日本発のお洒落なピアノ・トリオ」はある種ブームになるが、これなどその先鞭をつけたアルバムという側面もあると思う。
かくゆう私がこの種のカクテル風なジャズの楽しさを知ったのも、実はこのアルバムだった(と思う)。なので、ハンク・ジョーンズといえば、私はまずこれを思い出すのだ。ともあれ、彼の冥福を祈りたい。
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