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バーバー ヴァイオリン協奏曲/シャハム,プレヴィン&LSO

2010年03月11日 23時29分05秒 | クラシック(20世紀~)
 バーバーというと、私は有名な「アダージョ」くらいしか知らないのだが、このところ偶然ではあろうが、Twitterのタイムラインであちこち見かけたもので、思い立って聴いてみることにした。幸いなことに、シャハムがコルンゴルトのヴァイオリン協奏曲を入れたアルバムに収録されていたので(バックは当然プレヴィンとLSOだ)、改めて購入する必要がなかったのはありがたい。さっそく聴いてみた。
 第一楽章は広々とした草原を望むようなパースペクティブから開始、冒頭からヴァイオリンが絡み、甘くセンチメンタルな抒情が横溢している。一聴した印象としては、コルンゴルトの同曲のセンチメンタリズムをもうすこし北欧風な温度感にした音楽という感じもする。また、実験的な色彩やシリアスな風情といったものはほとんどなく、モダンな響きに混じって、時に映画音楽風な大衆性をちらほらさせるのはいかにもアメリカの作曲家らしいところだろう。楽章中盤ではドラマチックに盛り上がり、ヴァイオリンも切々伸びやかに旋律を歌いいいムードになっている。ただ、アレグロでぐいぐいと盛り上がるような音楽ではないので、めくるめくようなヴァイオリンの名技性という点では今一歩かもしれない。

 第2楽章は「木枯らしの中ひとりたたずむ....」といった風情のオーケストラに、哀愁を感じさせるオーボエの旋律に始まり、それをオーケストラが引き継ぎ、ゆっくりと進んでいく。やがて現れる第二主題の方はやや情熱的で、時に無調的な響きに接近したりもするが、全体としてはごくまっとうなロマン派風な装いの悲劇的緩徐楽章といった風情であり(私の唯一知っている「アダージョ」と似たような苦味というか渋い雰囲気も感じられる)、エルガーのヴァイオリン協奏曲などに比べれば遙かに「わかりやい」というか、この作曲家は音楽で何を言いたいのかが、よく分かる音楽ともいえる。
 最終楽章は4分弱の短い楽章で、ここで一気に華麗なるヴァイオリンの技巧が披露されるという感じ。音楽的には叙情的な前2楽章に対し、ベートーベン流の「暗から明へ」のパターンとは少し違った、曲はややシニカルで乾いた楽章でフィナーレを迎えるという印象が強い。しかも、第1楽章は10分、第2楽章は8分半の後だから、なにやらあっという間に終わってしまうという感があり、最後の楽章はちと座りが悪いかな....という感じもなくはない。ともあれ、一聴した印象だから、聴き込んでいけばいろいろ印象も変わることと思う、しばらくは何度か繰り返し聴いてみることにしてみたい。

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