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マーラー 歌曲集「子供の不思議な角笛」/フィッシャーディスカウ,シュワルツコッブ,セル&LSO

2007年03月01日 01時00分03秒 | マーラー+新ウィーン
 先日、ヴァイクルとポップがテンシュテットと組んだ「子供の不思議な角笛」を聴いたあと、「亡き子をしのぶ歌」の方に浮気気味でしたが、一緒に購入してきたフィッシャーディスカウとシュワルツコッブ、そしてセルによる同曲を聴いてみました。前回聴いた時は、「記憶だともっとファンタジックで軽やかな音楽だったような記憶がある」旨書きましたけど、こちらを聴くとあの時感じた居心地の悪さは、少なからず演奏のせいだったことがよくわかります。もともとこの曲をフィッシャーディスカウ&シュワルツコッブ盤を聴いていたという影響も当然あると思いますが、こちらを聴くと自分がもっている「マーラー的音楽像」を裏切らないというか、良い意味で違和感を覚えず楽しく聴けるんですね。

 フィッシャーディスカウ&シュワルツコッブ盤を聴いて、逆に何がそんなに居心地悪かったのかといえば、まずヴァイクルの歌唱があまりに芝居がかって、この曲集のもつ素朴さにはややオペラチック過ぎ、更に技巧がハナについていんだということがわかりました。例えば5曲目「無駄な骨折り」ので表現されるアイロニーなんか、フィッシャーディスカウを弁えた歌を聴いてしまうと、ヴァイクルの歌はあまりに喜怒哀楽の振幅が激しすぎて、マーラーの世界から離れてしまうように感じるんですね。
 あと、この両者ほどではないにしても、ソプラノのポップとシュワルツコッブ、指揮のテンシュテットとセル、ついでにオケのLPOとLSOにもほぼ似たような関係が感じられますから、結局、そのあたりが総合的に作用して、出来上がった音楽の肌合いはかなり変わったものになった....ということなんでしょう(録音も典型な50~60代のEMI調の写実系ですし....)。

 ついでにいえば、ヴァイクルとポップ盤でけっこう気になった「軍隊ラッパ+行進曲調}といった要素も、ここでは聴こえ過ぎる訳でも、もちろん聴こない訳でもなく「マーラーらしさ」というロジックにきっちり収まってごくごく自然に流れていくはセルの見識を感じさせるところかもしれません。その変わりといってはなんですが、「ラインの伝説」みたいな、ゆったりとした曲の官能性みたいなところはむしろテンシュテットの方がよく出ていていますから、何もかもフィッシャーディスカウ&シュワルツコッブ盤が優れているという訳でもありませんが....。ともあれ、この曲をとにもかくにも「マーラーの音楽を聴いてる気にさせてくれた」のは、やはりこのフィッシャーディスカウ&シュワルツコッブ盤である....ということは、目下のところ間違いないようです。

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