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メリー・ジャズマス -ノーバス・フォー・クリスマス- / various artists

2009年12月08日 00時05分00秒 | JAZZ
 ウィントン・マルサリスが新伝承派と旗手としてもてはやされた後、彼に続けとばかりに、ジャズの伝統に根ざした非フュージョン系の若手のジャズ・ミュージシャンが大挙して登場した。覚えているだけでも、ラルフ・ピーターソン、テレンス・ブリッチャード、ジュリ・アレンなど私もちょこちょこつまみ食いしたものだが、そんな中でノーバスというはそうした若手ジャズ・ミュージシャンを多数擁していたことが特徴のレーベルだった(ように記憶している)。このアルバムはそのノーバスから1990年に出たクリスマス・アルバムである。登場するミュージシャンは当時のウィントン・マルサリスの片腕として頭角表していたマーカス・ロバーツを筆頭に、ロイ・ハーグローブ、スティーブ・コールマンといった若手(メインのクレジットではないが、クリスチャン・マクブライド、ブラッド・メルドーといった名前もみえる)の他に、このレーベルの専属だったかどうかは知らないが、カーメン・マクレエ、スティーブ・レイシー、マル・ウォルドン、ジョン・ヒックスといった大物も参加している。

 メンツとしてはそれほど豪華という訳ではなく、レーベル内のアーティストをけっこうやり繰りしているからところもあり、アルバムの構えとしてはそれほどゴージャスな感じはしないが、ピアノ・ソロ、デュエット、ボーカル、コンボ・スタイルと編成はいろいろだから、けっこうヴァリエーション豊かな内容にはなっている。気がついたところを拾ってみると、まずアルバムの額縁という感じでトップとラストに配置されているのが、マーカス・ロバーツがソロで弾いた「レット・イット・スノウ」と「サイレント・ナイト」である。前者は彼らしくラグタイム的な解釈で楽しげに弾き、後者はゴスペル風なアレンジで真摯な表情を見せている。どちらも聴いていると、マルサリスは彼のピアノからにじみ出るこうした「黒いセンス」をかったのだろうなと思わせる。ジョン・ヒックスの2曲はピアノとベース(クリスチャン・マクブライド)のデュオで、例によってマッコイ・タイナー風を地味したようなプレイだ(ちなみにこの人2,3年に亡くなった)。ヒルトン・ルイスはオーソドックスなよくスウィングするハードバップ・スタイルのピアノ・トリオで「サンタが町にやってくる」「ジングル・ベル」を演奏。

 ポーカル物としては、バネッサ・ルービンが私の大好きな「ハブ・ユー・セルフ・ア・メリー・リトル・クリスマス」を歌っている。彼女はたぶん当時若手だったように思うのだが、一部ソウル的なテクニックを取り入れた歌いっぷりだ。これも大好きな「クリスマス・ソング」はなんとカーメン・マクレエが貫禄たっぷりに歌っている。実はマクレエの歌というのはあまり聴いたことがないのだが、ジャズ初心者の私には、これなどあまり崩しすぎな感じに聴こえてしまうのだが....。その他、ロイ・ハーグローブの「神が喜びをくださるように」は新主流派風のエキサイティングな演奏。アントニオ・ハートの「ウィンター・ワンダーランド」は上品でよくスウィングしている。あっ、あとレイシーとウォルドンのデュオにボーカルが入った「メリアー・クリスマス」は、モンクの曲らしいが、いかにもレイシーっぽい乾いた情感とモンク的なものが良くマッチしている演奏だと思う。という訳で、このアルバム、まだバブリーなクリスマスが巷にはびこっていた発売当初の頃は、あまりに地味に感じたが、ここ数年ようやっと楽しめるようになってきたというところである。

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