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ハイドン 交響曲第50番「フィレモンとバウチス」/フィッシャー&オーストリア・ハンガリーHPO

2010年07月14日 10時49分13秒 | ハイドン
 これもシュトルム・ウント・ドランクの作品です。この時期特有な短調ではなくて、ハ長調で書かれている作品ですが、全体に劇的というか、かなり鋭角的なメリハリがある仕上がりなのは、やはりこの時期特有の様相といってかもしれません。
 また、ネット調べると、この曲は歌劇「フィレモンとバウチス」の序曲の改作というような記述をよく見かけます。どこをどう改作してこうなかったかは、当方には全くわかりませんが、この前述のように多少劇的なところが目立ちのは、こうした出自があるかもしれませんね(したがって、この曲にニックネームをつけるなら、当然「フィレモンとバウチス」が適当となるでしょう)。

 さて、第一楽章はモーツァルトみたいな威風堂々とした1分半ほどの壮麗な序奏が付いています。本編はスポーティーな疾走感と、そんな中に現れる鋭角的な伴奏のトロモロが印象的で、全体としては充実感がみなぎる聴き応えのある楽章なのですが。本編そのものは3分くらいで終わってしまい。いささか短いかなという気がしないでもありません。せめて5分くらいやっていれば…と思ったりもしますね。
 第二楽章は緩徐楽章にしては、いくらかリズミカルでパパ・ハイドン的なユーモラスな風情がただよっています。また、時計の振り子思わせる単調なリズムは、その後の「時計」をちらっと思い出させたりもします。ついでにチェロがまるで、ロックでいうとちょうどベース・ギターのようなフレーズを弾いているのが印象的でもあります。

 第三楽章はもちろんメヌエット。ただし本来の田園風な趣きではなく、ここではやや軍隊調な重々しさがある仕上がりになっています。トリオは古典派というより、ちょっとロマン派的な陰影や瑞々しさがあり、聴いていると「あれれ、妙な方向に進んで行ってる」みたいな気持ちになります。ハイドンとしては、例によってちょっと変わったことをしてみた…という程度の試みなんでしょうが、妙な印象に残るアクセントになっています。
 第四楽章は型どおりの急速調ですが、ここでは一気呵成に進んでいくとというより、あちこち寄り道しながら進んでいくというか、いろんな障害物にぶつかりながらもそれを蹴散らして疾走しているという感じで、いつもの突き抜けた感じが多少スポイルされているような気がしないでもありません。まぁ、この曲は全体にギクシャクしていますから、曲のコンセプトを敷衍した出来というべきなのかもしれませんが。

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