90年代のスタンダーズといえば、マイルスのトリビュート盤あたりからだろうか、CDで聴く限りだが、初期のロマンティックで思索的で叙情的なムードから、ビバッブに接近と長尺インプロ満載の、良く言うと非常に奔放な、悪く云うと垂れ流し状態のパフォーマンスが多くなっていったと思う。そうした方向性の頂点を記録したのが、ご存じ94年のブルー・ノート・ライブだった訳だけれど、私個人としては、どうもスタンダーズのこういう方向性について全面的に賛同しかねる面もあったため、この時期の諸作については正直いってあまり愛聴した記憶がない。
このアルバムは確か前述のブルーノート・ライブの後に出た作品で、大筋では前述の方向性に準じた仕上がりだが、日本の皇室を迎えてのロイヤル・パフォーマンスということで、スタンダーズ側も意識したのか、それぞれの楽曲は適度に狩りこまれてコンパクトだし、有名なスタンダードも多く、このトリオの持つ歌謡性のようなものを全面に出しているため、日本人にとっては非常に聴き易い仕上がりになっているのが特徴だろう。キース・ジャレットというと、非常にアーティスティックで唯我独尊みたいなイメージがあるけれど、こういう配慮をけっこうやる人なのである。
そんな訳でこの作品、同時期のスタンダーズとしては、比較的ラクに聴ける作品だ。私のような初期のヨーロピアンナイズされた叙情を愛好している者にとっては、ややオーソドックス過ぎ、普通なジャズに聴こえ過ぎる気がしないでもないが、この作品の場合、そうした手練手管を超えた域でなされた、枯れた味わいをさりげなく楽しむべき作品なのかもしれないな。
このアルバムは確か前述のブルーノート・ライブの後に出た作品で、大筋では前述の方向性に準じた仕上がりだが、日本の皇室を迎えてのロイヤル・パフォーマンスということで、スタンダーズ側も意識したのか、それぞれの楽曲は適度に狩りこまれてコンパクトだし、有名なスタンダードも多く、このトリオの持つ歌謡性のようなものを全面に出しているため、日本人にとっては非常に聴き易い仕上がりになっているのが特徴だろう。キース・ジャレットというと、非常にアーティスティックで唯我独尊みたいなイメージがあるけれど、こういう配慮をけっこうやる人なのである。
そんな訳でこの作品、同時期のスタンダーズとしては、比較的ラクに聴ける作品だ。私のような初期のヨーロピアンナイズされた叙情を愛好している者にとっては、ややオーソドックス過ぎ、普通なジャズに聴こえ過ぎる気がしないでもないが、この作品の場合、そうした手練手管を超えた域でなされた、枯れた味わいをさりげなく楽しむべき作品なのかもしれないな。
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