トミー・フラナガンの最晩年のライブ、確か彼自身の67歳(1997年)のバースデイ・コンサートで(最後にはオーディエンスによってフラナガンへのバースデイ・ソングが歌われる)、かのヴィレッジ・バンガードで収録されたものだったハズだ。フラナガンといえば、この時期、既にヴァップ期の生き証人として存在そのものがヴィンテージ化してたように思うが、それに呼応するかのように沢山のCDがつくられていたように記憶する。私がもっているのは「Sea Changes」「Lady Be Good for Ella」とこのアルバムだけだが、この時期のフラナガンの作品が他にどんなものがあるか、私は寡聞にしてよく知らないのだが、どれも良質な作品である。「Sea Changes」は名作「Overseas」の再演的アルバム、「Lady Be Good for Ella」はエラ追悼にちなんで、彼女の愛唱曲をピアノ・トリオで演奏、そしてこれがバースデイ・コンサートという、それぞれ違った趣でつくられていて、さながら彼の全活動をレトロスペクティブするかのようですらある。
とりわけて、このアルバムはバースデイ・コンサートということもあって、当時のフラナガンが一番良く現れている作品ではないか。フラナガンという人は歌判は巧いし、数々の名盤のクレジットをみても、どちらかといば脇で渋く光る類の名演が多い人だから、そもそもアーティスティックなエゴを発散するタイプではないのだろう。なので、リクエストに応じてどういう風にでも立ち回えしまえるのだろうが、このアルバムは奥方のプロデュースだし、彼としてもリラックスして「やりたいことをやった」というか、なにはともあれインティメートな演奏だと思うからである。
まぁ、そんな意図でつくられたアルバムなせいだろう、曲目は同世代のジャズ仲間がつくったジャズ・スタンダードばかりが選ばれているようで、私のようなジャズ初心者にはそのほとんどが未知な曲ではあるが、フラナガンの滋味あふれるピアノを楽しむにはかえって有名曲でない方が、かつての「Moodsville #9」同様、フラナガン的世界がビビッドに感じられて楽しめる(ちなみに、ベースはピーター・ワシントン、ドラムスはルイス・ナッシュである)。
収録曲の中では4曲目の「I Waited for You」が素晴らしい。まず冒頭のソロで演奏されるパートの、ほのかに明るくそれでいて少し瞑想的なムードが良いし、続いてトリオに入ってからもピアノをよく歌わせつつ、ジャズ的なメリハリとリラクゼーションがほどよくバランスしているところがいい。6曲目の「Sunset and the Mockingbird」も、同様にスローでよく歌ったロマンティックな作品で、途中ブルージーになるところなど、その職人芸に思わず聴き惚れてしまう。ちなみに続くメドレーの前半「The Balanced Scales」はソロ演奏である(というか「The Cup Bearers」への長いイントロと考えるべきなのかも)。また、こうしたスローな作品にサンドイッチされて演奏されるアップテンポな作品はどれも長尺な演奏で、「Overseas」みたいなテンションはないけれど、快調にスウィングしていて、こちらももちろん楽しめる。
という訳で、このところクラシックばかり、耳をそばだてて-少し緊張して-聴いていたせいで、ちと気分転換にこれを聴いてみたら、なかなか楽しめたの取り上げてみました。
とりわけて、このアルバムはバースデイ・コンサートということもあって、当時のフラナガンが一番良く現れている作品ではないか。フラナガンという人は歌判は巧いし、数々の名盤のクレジットをみても、どちらかといば脇で渋く光る類の名演が多い人だから、そもそもアーティスティックなエゴを発散するタイプではないのだろう。なので、リクエストに応じてどういう風にでも立ち回えしまえるのだろうが、このアルバムは奥方のプロデュースだし、彼としてもリラックスして「やりたいことをやった」というか、なにはともあれインティメートな演奏だと思うからである。
まぁ、そんな意図でつくられたアルバムなせいだろう、曲目は同世代のジャズ仲間がつくったジャズ・スタンダードばかりが選ばれているようで、私のようなジャズ初心者にはそのほとんどが未知な曲ではあるが、フラナガンの滋味あふれるピアノを楽しむにはかえって有名曲でない方が、かつての「Moodsville #9」同様、フラナガン的世界がビビッドに感じられて楽しめる(ちなみに、ベースはピーター・ワシントン、ドラムスはルイス・ナッシュである)。
収録曲の中では4曲目の「I Waited for You」が素晴らしい。まず冒頭のソロで演奏されるパートの、ほのかに明るくそれでいて少し瞑想的なムードが良いし、続いてトリオに入ってからもピアノをよく歌わせつつ、ジャズ的なメリハリとリラクゼーションがほどよくバランスしているところがいい。6曲目の「Sunset and the Mockingbird」も、同様にスローでよく歌ったロマンティックな作品で、途中ブルージーになるところなど、その職人芸に思わず聴き惚れてしまう。ちなみに続くメドレーの前半「The Balanced Scales」はソロ演奏である(というか「The Cup Bearers」への長いイントロと考えるべきなのかも)。また、こうしたスローな作品にサンドイッチされて演奏されるアップテンポな作品はどれも長尺な演奏で、「Overseas」みたいなテンションはないけれど、快調にスウィングしていて、こちらももちろん楽しめる。
という訳で、このところクラシックばかり、耳をそばだてて-少し緊張して-聴いていたせいで、ちと気分転換にこれを聴いてみたら、なかなか楽しめたの取り上げてみました。
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