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トルド・グスタフセン・トリオ/ザ・グラウンド

2006年01月30日 23時56分04秒 | JAZZ-Piano Trio
 去年の今頃といえばヨーロッパ系のピアノ・トリオばかり聴いていましたけど、丁度去年の今日にレビュウしたのが、グスタフセンのデビュウ作である「チェンジング・プレイセズ」でした。ややダークで温度感の低い、静謐で思索性に富んだ、それこそECM系としかいいようがない音楽は、日本だけでなく本国ノルウェイその他でも大ヒットしたようですが、本作はそれに続く第2作です。実はこのアルバム、昨年のレビュウを書いた後、すぐに購入していたのですが、あれこれと他の作品に関わっているうちに春から夏になってしまい、なんとなく聴く時期を逃してしまって、本日ようやく聴いてみたという訳です。

 さて、この第2作。全体としてはほぼ前作の延長線上の音楽といっていいと思いますが、誤解を恐れずあえて書くならば、いわゆるジャズ的な要素は前作以上に稀薄になったといえます。前作にはラウンジ風というかキャバレー風のBGMみたいなジャズのムードがそこかしこに香ったりしていましたが、本作ではそういう要素はほとんど一掃され、グスタフセンのコアな部分の純度を上げたいった結果、出来上がった音楽という感じがします。1,2曲目はほとんど寡黙なモノローグでつづったレイクエムのような音楽で、その様はまるでピアノ・ソロ。ベースとドラムは霞のように後方に陣取っているあたり、このアルバムの雰囲気が象徴しているかのようです。アルバムは3曲目以降になると、ようやくトリオ・ミュージック的なインタープレイがちらほら聴かれますが、これとてエキサイティングだとか、ホットなどという言葉とはほとんど対極にある音楽で、なんだか聴いているうちに「これって、ジャズのピアノ・トリオのフォーマットを借りているけれど、何かそれとは違う音楽なんじゃ....」などと思えてきたりしました。

 ともあれ、第1作でも聴かれたような思わず既視感を誘うような音楽づくりや、ストイックなエレガントさは明らかに前作を超えてますから、最近1作目を気に入った人から文句なく買いでしょう。ちなみにライナーは黒田恭一で、だからという訳ではありませんけど、このアルバム、スクウェアなジャズ・ファンというよりむしろクラシックが好きな人に受けそうな気がします。個人的にはここ数年聴いたユーロ・ジャズの作品では三指入る作品と断言したいですね。

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