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アマンダ・ブレッカー/ヒア・アイ・アム

2010年01月06日 23時37分03秒 | JAZZ
 アマンダ・ブレッカーはイリアーヌ・エリアスとランディ・ブレッカーの娘である。かつて彼女の母親であるイリアーヌが作った「ファンタジア」というアルバムで、イリアーヌが親ばか丸出しで、どう考えても気恥ずかしくなるようジャリ声を入れていたことがあったけれど、あの時の子供が今や立派に成長してジャズ・シンガーになってアルバムを出しているという訳だ。いやはや、月日の経つのは早い。まだまだお美しいとはいえ、娘がこんなに成長しているんじゃ、イリアーヌもオバサンになる訳である(失礼-笑)。さて、アマンダ・ブレッカーだが、先ほど一応ジャズ・シンガーとは書いたものの、基本的にはシンガー・ソングライター的なスタンスで音楽をやっている人だと思う。こういう境界線上のシンガーとしては、ノラ・ジョーンズという先輩がいるが、まぁ、基本的にはああいう線の音楽といって間違いないところだろう。

 ボーカルは母親に似てちょっと低めのアルト声ではあるが、母親のようないがらっぽさは皆無で、非常に素直、チャラチャラしたところがなく落ち着いた伸びやかな声をしている。こういう表現は大嫌いなのだが、今時な形容でいえば「癒される声」といったところだろうか。また、歌い方が基本的にポップス系でジャズ的なフェイク、ヴィブラートといったクセがほとんどないのも、そうした印象を倍加していると思う。収録曲は12曲だが、過半数の曲は自分で書いており、ゴスペル風な味付けがされた3曲目の「ウェイステッド・タイム」など、ちょっと漠としたぬくもり感が気持ちよく、一聴して魅了されてしまった。5曲目の「アイ・キャント・メイク・ユー・ラブ・ミー」もゴスペル風にアレンジされて初々しくしっとりしたボーカルが実に「聴かせる」ナンバーだ。同様に「シンキング・オブ・ユー」などもよく、本作はバラード系の作品が光るものがあると思う。母親のご威光でボサノバなどもやっているかと思ったら、そうした作品はほとんど皆無で、どちらかといわずともやけにアメリカの土の匂いのする作品が多い。2枚目ではボサノバなどもやっている模様なので、このアルバムでのカラーが彼女の本来の資質なのかどうは不明だが、非常にいい素質がありそうなのは確かだ。

 なお、プロデュースやアレンジはイリアーヌがやっているかと思ったら、マンハッタン・ジャズ・クインテットのデビッド・マシューズが担当している。ゲスト的に両親が1,2曲づつソロで華を添えているが、基本バンドは-聴いたことにない人ばかりだが-おそらくニューヨークのフュージョン系の1.5流どころで固めていて、非常に手堅いバッキングである。なお、プロデュース陣は全て日本人だから、本作は「日本発の舶来ジャズ」の一種だと思われる。そういえばインナーに写っている(これまた日本人のカメラマンが撮ったでろあろう)清潔そうで、アクのなさそうな彼女の姿は、まるで日本の大学生か高校生の女の子のような風情である(笑)。という訳で、ありがちな「親の七光りアルバム」だと思っていたら、予想外に良い出来でちとうれしくなった。うーむ、これは2枚目も買わねばなるまい。

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