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ハンソン 交響曲第2番「ロマンティック」/スラトキン&セントルイス響

2009年09月21日 23時15分56秒 | クラシック(20世紀~)
 ハンソンはアメリカン・クラシックの作曲家の大物のひとりである。アメリカの作曲家は、アイヴスのような人もいるが、音楽が音響デザインと化した第二次大戦後も、総体的にロマン派をベースにした保守的なところを基点とする人が多かった。サミュエル・バーバーやチャドウィック、あとコープランドやコルンゴルトなどもその部類に含めていいかもしれない。このハンソンもその一人であり、かつ最大の大物だろう、なにしろ彼は指揮者としてマーキュリーのリヴィング・プレゼンスに自作自演の他、何枚かのアルバムを残してもいるので、そうした意味でも有名な人なのである。

 私は3年ほど前にここで彼の交響曲の第3番を取り上げたことがあったけれど、その時はドイツ・ロマン派とはいささか趣が異なる、構築的というよりはもうすこし情緒的、ロマン派といってもいくらか民族的風景のようなものを穏健な筆致で描く人みたいなイメージを持ったが、特に駆り立てられるような興味も感じないまま放置してあった。
 今回、この交響曲第2番を聴いてみようと思ったのは、この曲の一部がこのところなにかにつけて、あれこれ書いている「エイリアン」のエンド・タイトルに使われているからで、これを機会にちょっと聴いてみたいと思った訳だ。コレクションを探してみたところ、ハンソンについては他の交響曲は何枚かあったけれど、第2番はなぜか見あたらなかったので、HMVで-ここでは初めて-ダウンロードでの購入をしてみた。ソースはMP3ではなく、128kbpsのWindowsMediaファイルであったので、これを一旦ディスクに焼きなおして聴いているところである。

 全楽章を軽くメモっておくと、曲は3楽章制、第1楽章は全楽章中もっとも長大で(といっても15分くらいだか)、長い序奏部の後、第1主題こそものものしいが、大半はなだらかな起伏で、心持ち温度感の低い田園風景のような音楽でもって展開されていく。第2楽章は更に牧歌的、田園的な緩徐楽章でシベリウスから苦みを抜いた音楽みたいな印象で、中間部では大きく盛り上がるが(まるでマーラーの3番のみたいに)、これは典型的なロマン派のパターンだが、その平明な旋律はもやはハリウッド(の映画音楽)的な趣もある。第3楽章はトンネルから抜け出たような明るいファンファーレに始まり、雄大でスケールは大きいものの、基本的にはなだからな音楽との対比で進行、最後近くで第1楽章の主題が回想されて、曲は再びファンファーレで盛り上がり終末を迎える....と、まぁ、だいたいこんな感じだろうか。いささか、「ぬるい」ところがなくもないと思うが、瑞々しさがあってなかなか良い曲だと思う。

 さて、問題の「エイリアン」に使われた部分だが、Wikiなどを読むと、多くは第3楽章が使われた旨の記載があるけれど、これはどう考えても第1楽章だろうと思う。前述のとおり第1楽章は15分ほどある楽章だけれど、くだんの映画のオーラスの通信場面およびクロージング・テーマは、この楽章の最後をそれぞれ1分と3分ほど、この楽章の第2主題をあつかったコーダの部分あたりを中心に使われているとしか思えない。念のため映画の方でも確認したが、ひょっとするアレンジした演奏かも....という気もするが、大筋ではこのコーダの音楽だ。
 ちなみにこの部分に私は映画で慣れ親しんだせいか、この初めて聴く曲でもこの部分がくると、異国の地で突然古い友達にでもあったような気になってしまう。「ベニスに死す」で使われたマーラーのアダージェットなどその典型だが、これも間違いなくそのひとつになるだろう。

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