Blogout

音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

エンリコ・ピエラヌンツィ/プレイ・モリコーネ2

2009年12月19日 13時36分41秒 | JAZZ-Piano Trio
 当ブログにも大分前にレビュウした、エンニオ・モリコーネのカバー集の続編である。正編の翌年(2002年)に早々とリリースされているところを見ると、きっと好評だったのだろう。私も早々と購入したはいいが、もう何年も放置されたままになっていた。ところで、私がこれを購入した2005年頃の日本はというと、ビエラヌンツィ、ティエリー・ラング、ジョバンニ・ミラバッシ、ヨス・ヴァン・ビースト、トルド・グスタフセンといったヨーロッパ系のジャズ・ピアノが一種のバブル状態にあって、かなりの数リリースされていたように思う。もともとこの手の音楽に弱い私は、次から次へ出てくるこの手のアルバムの存在を知り、かなり枚数のアルバムを購入したものだった。なにしろ当ブログも、そもそもの始まりは、2005年の1月にこうした音楽を沢山聴いていて、次にピエラヌンツィの「メレディーズ」を取り上げたことにあったりしたのだった。あれから5年、このブームは(というほどのものでもなかった?)、今はどうなっているのだろうか。

 さて、本作だが相変わらず私自身がモリコーネの曲そのものをあまり知らないので、アレンジや選曲のセンスといった点を云々できないのがつらい。布陣はピエラヌンツィにマーク・ジョンソンとジョーイ・バロンというレギュラー・メンバーともいえる面々だから、演奏は非常に安定感があるし、ピエラヌンツィ自身もモリコーネの曲だからといって、特にいつも違ったことをしている訳ではないから、特にモリコーネを意識せずとも、ヨーロッパ系のピアノ・トリオ作品として十分楽しめる内容になっていると思う。1曲目の「シシリアン」はかなり有名な曲で、さすがに私も聴き覚えがある。イタリアっぽいドメスティックな旋律を、例によって徐々に解体していくピエラヌンツィ・ワールドであるし、2曲目の「ザ・ニンフ~ダーク・サンライズ・オブ・ラヴ」はビル・エヴァンス風なスロー・バラード、3曲目の「ゼロの世代~きみを想って」はアップ・テンポでシャープにスウィングする演奏という訳で、冒頭の3曲でほぼピエラヌンツィの個性が全面的に開陳されていると思う。ちなみに5曲目「ネクスト・ナイト」、10曲目のタイトル・トラックはピエラヌンツィのオリジナルで、これはいつも通りのピエラヌンツィのセンスとペースで押し切った、シャープな透明感とちょっとひりひりしたようなメランコリーが横溢する作品だ。

 個人的には、曲としてはミディアム・テンポで軽快にスウィングする4曲目「ゼロの世代~ジーズ・トゥエンティ・イヤーズ・オブ・マイン」が良かったかな。この曲、アストラッド・ジルベルトの名作「いそぎぎ」のラストに入っていた「ファニー・ワールド」そのもので、「へぇ、あれモリコーネの曲だったのねー」と思わずニタニタしてしまった。後半の4バース・チェンジからフリーがかった展開に雪崩れ込んでいくあたりもこのトリオは実に余裕綽々で実に洒落ている。ついでに8曲目の「ザ・ニンフ~プロミス・オブ・ラヴ 」は軽いボサノバ調、こういうのも楽しいものだ。あと、6曲目の「夜ごとの夢~イタリア幻想譚」9曲目の「イル・プラート」といった作品では、テーマはモリコーネ、途中からピエラヌンツィのオリジナルへとメドレーで繋げていく構成をとり、演奏そのものもモリコーネの作品を時に自然に、時に強引に彼自身の世界に引き寄せているのがおもしろい。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ハイドン 交響曲 第38番『こ... | トップ | 梁静茹/今天情人節 台北小巨... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

JAZZ-Piano Trio」カテゴリの最新記事