三つ目のエルガー。演奏はナイジェル・ケネディ、バックはサイモン・ラトルと当時(97年)の手兵バーミンガム市響である。ナイジェル・ケネディといえば、確か「四季」が何百万枚売ったとか、クラシックのアーティストらしからぬ出で立ちでコンサートに登場したとか、ジャズの方とシームレスな活動しているとか、突如引退して復活したとか、90年頃だったと思うが、英国では話題にことかかない人だったようだ。この演奏は97年の復活後のもので、2度目の録音ということだが、2度も録音しているということは、彼にとっては十八番なのかもしれない。
演奏は非常に楽しめる。期待して聴いたヒラリー・ハーンとコリン・デイヴィスの演奏は、キョンファとショルティのテンションの高い演奏で、まずはこの曲を知ったせいなのか、ハーンの端正だがやや余所行きな表情、デイヴィスの悠々迫らざるオケの伴奏共々、あの演奏は私にとってちと落ち着き過ぎ、地味過ぎで、全体としてはイマイチな印象だったが、その点、こちらは随所に新鮮さがあり、全編にわたってとても楽しめる演奏だ。なにしろ、録音当時はふたりとも若手だったのが幸いしたのだろう。この長大で晦渋な、ともすれば「英国訛り」のみというか、「わかる人にしか分からない」的な評価をされかねない、この曲を新しい切り口でスタンダード化してやろうとでも思ったのか、とにかく覇気満々な演奏なのがいい。
まずラトルの指揮振りがおもしろい、インテンポで重厚に進めるのが定石(多分、なんだろうと思う)のこの曲を、第1楽章からテンポを頻繁に動かして第一主題と精力的に進め、第二主題では思い切り歌い、主題のコントラストを明確にして見せる点だとか、ちょっと苦みのある第2楽章をまるで「もうずっと昔から有名だった美しい楽章」の如く、実に流麗に演奏させてしまう手際など、実に素晴らしいものがあると思う。第3楽章も「こんなにハイライト向かって直線的に盛り上がる楽章だったっけなぁ」と思わせるくらいにクライマックスをはっきりとさせた演奏になっている。つまりは、この曲を「当たり前にスタンダードな協奏曲」として演奏しているのだ。
ケネディのヴァイオリンはまずピアニッシモからフォルテまでレンジの広さ、そしてそのダイナミズムが印象的だ。ゴリゴリ弾くところは豪快で精力的だが、一転して弱音部では実に繊細で甘い表情を見せるのだが、そのバランス感覚が「コレだ」という説得力がある。第1楽章の多彩な表情もさることながら、聴きどころは第2楽章だろうか。ケネディにかかると、前述のラトルの指揮とも相まって、まるでコルンゴルトの協奏曲を聴いているかのようなロマンティックな美しさ感じさせるから妙だ。第3楽章の超絶技巧な部分など、実にホットな演奏で協奏曲的なカタルシスを感じさせる。という訳で、これまで聴いた3種類の演奏では文句なく、これが一番好きだ。いゃぁ、いい演奏に出会いました。
演奏は非常に楽しめる。期待して聴いたヒラリー・ハーンとコリン・デイヴィスの演奏は、キョンファとショルティのテンションの高い演奏で、まずはこの曲を知ったせいなのか、ハーンの端正だがやや余所行きな表情、デイヴィスの悠々迫らざるオケの伴奏共々、あの演奏は私にとってちと落ち着き過ぎ、地味過ぎで、全体としてはイマイチな印象だったが、その点、こちらは随所に新鮮さがあり、全編にわたってとても楽しめる演奏だ。なにしろ、録音当時はふたりとも若手だったのが幸いしたのだろう。この長大で晦渋な、ともすれば「英国訛り」のみというか、「わかる人にしか分からない」的な評価をされかねない、この曲を新しい切り口でスタンダード化してやろうとでも思ったのか、とにかく覇気満々な演奏なのがいい。
まずラトルの指揮振りがおもしろい、インテンポで重厚に進めるのが定石(多分、なんだろうと思う)のこの曲を、第1楽章からテンポを頻繁に動かして第一主題と精力的に進め、第二主題では思い切り歌い、主題のコントラストを明確にして見せる点だとか、ちょっと苦みのある第2楽章をまるで「もうずっと昔から有名だった美しい楽章」の如く、実に流麗に演奏させてしまう手際など、実に素晴らしいものがあると思う。第3楽章も「こんなにハイライト向かって直線的に盛り上がる楽章だったっけなぁ」と思わせるくらいにクライマックスをはっきりとさせた演奏になっている。つまりは、この曲を「当たり前にスタンダードな協奏曲」として演奏しているのだ。
ケネディのヴァイオリンはまずピアニッシモからフォルテまでレンジの広さ、そしてそのダイナミズムが印象的だ。ゴリゴリ弾くところは豪快で精力的だが、一転して弱音部では実に繊細で甘い表情を見せるのだが、そのバランス感覚が「コレだ」という説得力がある。第1楽章の多彩な表情もさることながら、聴きどころは第2楽章だろうか。ケネディにかかると、前述のラトルの指揮とも相まって、まるでコルンゴルトの協奏曲を聴いているかのようなロマンティックな美しさ感じさせるから妙だ。第3楽章の超絶技巧な部分など、実にホットな演奏で協奏曲的なカタルシスを感じさせる。という訳で、これまで聴いた3種類の演奏では文句なく、これが一番好きだ。いゃぁ、いい演奏に出会いました。
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