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バーバー ヴァイオリン協奏曲/オリヴェイラ,スラトキン&セントルイスSO

2010年03月13日 23時47分01秒 | クラシック(20世紀~)
 一昨日、ひょんなきっかけで聴き始めたバーバーのヴァイオリン協奏曲だが、この2,3日というものかなり頻繁に聴いてきたおかげで、大分気に入ってきた。第1楽章冒頭淡い色彩で始まる広がりを感じさせる田園風景な部分や第2楽章のやはり冒頭木枯らし吹く冬の情景のようなオーボエの旋律とそのリレーといったところは、実に親しみやすくすぐに体に馴染んでしまったという感じである。また、一昨日聴いた時は、コルンドルトの同曲と似た立ち位置にある「遅れてやってきたロマン派の協奏曲」みたいイメージが強かったのだけれど、何回か聴いているうちに、コルンゴルトよりは「先を見ていた」曲というイメージで、ロマン派的な音楽をベースにしつつも、随所にモダンな響きを取り入れて、もっと現代性を身に纏っていた音楽なのだな....という気もしてきた。

 さて、この曲がイケそうな気配なので、お決まりの聴き比べ開始である。もっとも先日も書いたとおり、この曲はシャハムが演奏したもの一種類しか持っていなかったので、とりあえず数枚のアルバムをアマゾンで購入した。まず聴いているのが、このEMIの廉価盤シリーズの一組である「バーバー作品集」である。2枚組でヴァイオリン協奏曲の他、有名な「アダージョ」や主要な管弦楽曲や一部室内楽なども収録している。お目当てのヴァイオリン協奏曲は、エルマー・オリヴェイラのヴァイオリンにレナード・スラットキンとセントルイス交響楽団が伴奏を務めた演奏だ(1986年収録)。私はそもそも指揮のスラットキンからして馴染み薄だが、オリヴェイラといったら多分初めて聴くことになるだろう。よく分からないがメジャー・レーベルにガンガン新譜を吹き込んでいるような人ではないようだ。いずれにしてもアメリカ人であるのは間違いないようで、スラトキン、セントルイス響共々いわば「おらが音楽」という名演が期待できる組み合わせだ。

 一聴した感触としては、この曲の淡彩なところを全面に押し出したような演奏という印象だ。前述の通り、ソリスト、指揮者、オケ共にアメリカ人だから、ハリウッド風なメリハリあるダイナミックな演奏かと予想していたのだが、大違いでちょっと驚いてしまった。それと録音のバランスのせいなのかもしれないが、ややヴァイオリンの音像が遠目で、なんだか聴いている印象としては、コンマスがソロをとるヴァイオリン独奏付きの交響詩を聴いているような気にもなってくる演奏ともいえる。この2枚組にはスラットキンとセントルイス交響楽団が演奏する管弦楽作品が多数収録されてところからして、この演奏もきっとこのコンビによるーバー管弦楽曲集という一貫として収録されたのだろう。それならこのバランスも納得できようものだ。ともあれ、非常にスタティックでなだらかな起伏の演奏である。スラトキンは「アメリカのリッカルド・シャイー」みたいなところもある人だが、これなどそういうところが良く出た穏健な演奏といえるかもしれない。

 また、前述のようにヴァイオリンもオケにひっそりと寄り添っている風情であり、最終楽章ではきっちりと技巧的な冴えを感じさせたりはするけれど、全般的にはあまり突出したところは見せない印象だ。ともあれ、この演奏を聴くと、ハリウッド映画的なダイナミズムやメリハリという点では、前に聴いたシャハムとプレヴィンの方が遙かにそういったセンスを持った演奏だったことがわかる。ただ、なんていうんのだろう、そのあたりが未だよくわからないけれど、虚飾を廃し禁欲的で、かつ内向的な趣きが強い....というあたりがバーバーの音楽の特徴だとすれば、スラトキンの演奏の方が、その特徴を良く伝えているのは確かなような気がした。

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