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エイリアン2 完全版 アルティメット・エディション(J.キャメロン 監督作品)

2009年09月14日 21時33分38秒 | MOVIE
 前作から7年を経て公開された続編の完全版である。私は既に完全版のDVDをもっているせいもあり、それをもう何度も観ているから、今回購入したボックス・セットの中で「エイリアン2」はあまり有難味がない。もっともこちらには「アルティメット・エディション」という表記もあるから、更に新たな追加シーンでもあるのかと思ったが、一度通して観てみたところ、大きな異同はなかったような気がした(ニュートの家族が例の遺跡を探検しにいく場面、前の完全版からあったよね?)。なので、今回観ても特段新味はないが、こうやってあんまり間隔を空けず続編として本作を観たせいだろう、以前はこの「エイリアン2」は一作目にかなり肉薄した傑作だと思っていたが、やはり映画自体のオリジナリティや完成度といった点で、この作品は一作目の「エイリアン」には敵わない....と思ってしまった。

 ゴシック・ホラー的な前作から、本作ではベトナム戦争を想わせるアクション映画的な趣に一転して、あえて同じ土俵で勝負しなかったキャメロンの着眼点はさすがで、性格豊かな兵士の描写も良く、この部分については何度観てもおもしろい。ただ、アメリカ的といってしまっていいのかどうか、とにかくオプティミズム全開の人間ドラマ的な部分になると、どうもまっとう過ぎて、時にありきたりな感じがしてしまったのだ。もっとも、完全版になったおかげで、終盤で彼女を駆り立てる「母性本能」がよく表現されて、その意味ではドラマ的な説得力は出てきたと思うのだが....。ジェームス・キャメロンが監督した作品は、アクション・シーンの冴えに対して、ドラマが割りと凡庸になってしまうところは常々感じていたが、一作目の「エイリアン」とほぼ繋げてみることによって、それが期せずして浮き彫りになってしまったというところか。

 ボーナス・メイキングでは、特におもしろかったのはジェームス・ホーナーが出てくる音楽の場面だ。前作と同様にここでも監督と音楽家は鋭く対立しているのだが、今度は時間だ。製作のタイムリミットが迫っている状況で、結果的に最後の作られる音楽に当てられる時間がどんどん短くなってしまい、やがてブチ切れてしまう様をホーナーは語っている。多少誇張もあると思うが、本当に現場が彼の語っているその通りの状況だったなら、ホーナーのおかれた状況というのは、実質的に「良い音楽云々の前に、とにもかくにもそれらしい映像につけること」で手一杯にしまった訳で、本当に同情してしまう。そういえば「エイリアン2」の音楽は一作目に比べて、アクション・シーンの音楽が多少インパクトがあるくらいで、あとはホーナーらしいところはおろか、印象的に残るとこがほとんどない。おそらくそれは、作曲家に過剰な拙速を要求されたせいもあるのだろうとつくづく思った。
コメント
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