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エイリアン三部作/various artists

2009年09月11日 21時15分36秒 | サウンドトラック
 先日「エイリアン」のサントラのところにちょっと書いた完全盤については、未だ自宅に到着しておらず、目下、楽しみにしている最中なのだけれど、その渇望を癒すべく聴いているのが、このスコア盤である。アメリカのサントラ専門レーベル、ヴァレーズ・サラバンデから出たアルバムで、「エイリアン」から7曲(約25分)、「エイリアン2」と「エイリアン」から各3曲(約15分)を収録して、アルバム一枚でシリーズの音楽の概要を俯瞰できるという、けだし優秀企画といっても良いアルバムである(同レーベルの似たような企画に「バック・トゥ・ザ・フィーチャー」がある)。演奏は同レーベルでは常に安定サウンドを聴かせるスコッティッシュ・ナショナル・オーケストラ、指揮はクリフ・エーデルマンという布陣だ。

 で、アルバム収録曲でやはり注目されるのは「エイリアン」だろう。ここ数日、久しぶりにサントラ盤との方も聴いてみたけれど、やはりあのアルバムには妙な違和感を覚えずにいられない点がいくつかあって、どうも落ち着いて聴けないのだ。なにしろこのアルバム、曲順がバラバラ。冒頭と掉尾こそメイン・タイトルとエンドタイトルではあるものの、メインタイトルが終わるとすぐに、幼虫が顔に張り付く例のフェイス・ハガーの音楽(The Face Hugger)になって、ずっと後の方に惑星に着陸する音楽(Landing)や惑星を探索する時の音楽(The Alien Planet)だのが出てくる寸法なのである。恐らく単体アルバムとしての聴くときにメリハリをつけるために、あえてこうした曲順に並べ替えたのだと思うが、1979年にもなって、どうして昔の007シリーズのサントラみたいことをやってたのかと、ちと釈然としない思いにかられるのである。

 また、このアルバムの音楽とサントラ盤がかなり違うということも大きい。おそらくゴールドスミスとスコットが対立した部分は、映画では監督のスコットに裁量権があったものの、サントラ・アルバム(実はこれもスコア盤らしいのだが)の作成に当たってはゴールドスミスの意向が優先されたのではないか?。とにかく先日のメイキングでも出てくる、ゴールドスミスとスコットが対立した冒頭のシーンから冷凍睡眠から目覚めるまでのシーンについては、アルバムの方はかなり映画とほとんど違った音楽になっている。映画ではエイリアンの惑星に着陸するシーンで初めて登場し、その後しばしば現れるテーマが、ここでは最初から朗々と登場するである。おそらくこのあたりが「隠された欲望」の音楽との差し替えの部分なのだろうが、いずれにしても「映画の最初にはコレ鳴ってなかったじゃん」という違和感は残る訳だ。

 さて、そのあたりを踏まえてこの再録スコア盤はどうかというと、こちらは実際に映画に使用された音楽を、努めて正確に再現することをコンセプトにしているようで、サントラ盤に比べても遙かに映画の雰囲気が出ている。冒頭のメインタイトルから冷凍睡眠装置での目覚め(Hyper Sleep)の部分も映画そのままである。またサントラ盤ではバーナード・ハーマン流のエキセントリックでグロテスクな音型のブラスが随所に聴こえたりしたけれど、ここでは映画同様、隠し味程度背景に追いやったバランスになっているのも納得できる仕上がりといえる。そんな訳で、映画のムードを音楽で味わうならやはりこちらだろうと思う。また、音質も全般にナローな放送的バランスで収録されていたサントラ盤に比べ、こちらは深々と鳴る優秀録音でまずは文句なしで、どうして全曲録音してくれなかったのかと悔しくなるほどのクウォリティ。さて、もうすぐやってくる完全盤は、まずはこれを越える仕上がりなっていて欲しいものだが....。
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