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シューマン 交響曲全集/ジンマン&チューリッヒ・トーンハーレO

2008年01月30日 22時40分12秒 | クラシック(一般)
 ここ2,3ヶ月くらい頻繁に聴いているアルバムである。去年クラシック音楽を聴いて、個人的に一番うれしかった出来事といえば、なにげなく聴いてみたシューマンの4つの交響曲(いずれもNaxos盤)が思いのほか楽しめたのをきっかけにして、その後、ムーティ、インバル、マリナー、バーンスタイン、ロジェストヴェンスキー、コンヴィチュニー、サヴァリッシュと様々な指揮者とオーケストラの演奏を聴き、演奏の聴き比べ、シューマンの4つの交響曲をぐっと身近なものに出来たことだったと思う。大体、人間も40代後半ともなれば、趣味嗜好にせよ、ライフスタイルにせよ、もうすっかり固まってしまうのが当たり前だろうから、私の場合、自分が聴くクラシックの守備範囲といったら、マーラー、ブラームス、ワーグナー、ブルックナー、新ウィーンといったコテコテの後期ロマン派の音楽が中心で、そこからはずれることももやはないだろうと思っていたからである。もっともシューマンは前期ロマン派に属する人だから、別段好きになっても不自然なことはなかったのだろうけれど....。

 さて、このジンマンとチューリッヒ・トーンハーレによる全集だけれど、例によって実にキビキビとしたリズム、すっきりとして見通しのよいアンサンブルでもって、響きがモヤモヤとしがちなシューマンの交響曲を颯爽と演奏している。こうした胃もたれのしない、そしてちょっと乾いたような演奏の質感って、おそらくジンマンとかアーノンクールとかが採用している(らしい)ピリオド奏法に負うところが大きいのだろうと思う。ピリオド奏法といっても私のイメージでは、ノンヴィブラート、独特なダイナミズム、低いピッチくらいのものしかないのだが、マッケラスのブラームスともそうだったけれど、独特な質感がある。これを新鮮と思うか、味気ないと思うかは、それこそ好みということになるのだろけれど、ブラームスあたりだとあまりに素っ気ないものを感じないでもないが、シューマンという古典派と後期ロマン派の中間に位置するような人の場合、これはこれでなかなかおもしろい。

 そういう演奏なので、趣としては、初期のベートーベン的な雰囲気でこの4曲も押し切っていると思う。それに違和感がないのは、これらの曲には本来そういう趣向が濃厚に残存しているからだとも思う。つまり、そういうことを気が付かせてくれる演奏というもできるかもしれない。したがって、比較的古典的な1,2番あたりが楽しめ、4番はとちワビサビがないようにも感じた。3番については、けっこう微妙、私はこの曲を交響詩というか、一種の音画のように聴きたいのだが、この演奏はあくまだも「5楽章の交響曲」という感じで、その爽快な演奏は新鮮ではあるのだけれど、あの「ラインの風景」が、この演奏から見えてこないからだ。
コメント
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