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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
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金聖響 玉木正之/ベートーヴェン交響曲

2008年01月22日 09時00分04秒 | Books
ここ1,2週間くらい暇をみて拾い読みしている本だ。金聖響と玉木正之によるものだが、内容としては頭と最後にふたりによる対談、そしてこの本の大半を占める中間部分を金聖響という指揮者による全9曲の解説という構成になっている。曲目の解説とはいっても、権威主義的で四角四面なものでは全然なく、今時のボーダレスなリスナーを意識したようなカジュアルな口調で-例えば「ロックしている」「ノリノリで」といったフレーズが頻出する-ベートーベンを語っているのがおもしろい。また、指揮者としてベートーベンがどう見えるのか、オーケストラと対峙した時にどうか、歴史的な解釈の問題などなど、さらりとした口調ながら、音楽的な情報量もけっこう豊富であり、文章でもって楽しくベートーベンの音楽を追体験できるという感じだ。第1番第1楽章冒頭の奇妙な響きなど、これまで「おや」と思っていたところを、何故「おやっ」「あれっ」と感じるのか、実にわかりやすく解説してくれているが、ここなど本書の白眉だと思う。

 という訳でけっこう楽しく読ませてもらっているのだけれど、困ったことは今現在私があまりベートーベンを聴く気分ではないということだろうか(笑)。ベートーベンの音楽が持つ、押しの強さ、説教臭さ、重厚長大感などは、私にとっては気分が乗らないとあまり音楽として説得力がないのが正直なところなのである。ベートーベンについては3年近く前に、序曲集をあれこれ買って聴き比べをしたことがあったし、丁度2年前の今頃は「ディアベリ変奏曲」を聴いていたりもして、それらについては当ブログでも書いた記憶があるけれど、ともあれ最近とんとご無沙汰だったもので、この本がきっかけとなって交響曲の方もどうかな....と思ったのだけれど、残念ながらあれこれひっぱりだして、じっくりと聴いてみようとというところまでいかなかった。まぁ、とりあえず、Walkmanにはヨッフムの旧全集を入れて、折りにふれて聴いてはいるのだけれど....。しかし、この全集、全編にわたっていかにも重厚長大なベートーベンという感じで、1番や2番、あと8番といった、比較的軽い作品でも実に希有壮大に仕上げているのは、戦前のスタイルを色濃く感じさせておもしろい。
コメント
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