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ブラームス交響曲第1番/ヨッフム&BPO

2006年05月15日 23時25分25秒 | ブラームス
 ヨッフムのブラームス交響曲全集といえば、80年代にロンドン・フィルと収録したものがありすが、こちらはもっと壮年期、50年代中盤頃のモノラル期にグラムフォンに完成させた全集です。ヨッフムというと、私は「ドイツの伝統を堅持する最後の巨匠」みたいな感じで、晩年の頃EMIでの活躍していたことくらいしか知りませんが、去年の今頃のちょいとレビュウしたベートーベン全集といい、その後のブルックナー全集といい、モノラル晩期~ステレオ初期の頃は、グラムフォンというドイツ保守本流の牙城みたいなところで、こういう大きな企画を任されていたところをみると、既にこの時期から正統派ドイツ指揮者として確保たる地位があったんですね。

 さて、この全集ですが、例によって2枚組で序曲等はなしのコンパクト・サイズ、ディスク1には1番と3番が収録されていますが、今夜は1番の方を聴いてみましたが、これがなんとも素晴らしい演奏。覇気や推進力は十分だし、フルトヴェングラーもかくやと思わせるような、燃え上がるような情熱で、この曲をホットに指揮しています。この曲は古くからベートーベンの意思を受け継いだ交響曲第10番みたいな形容をされることが、ありますが、この演奏などまさにそうしたコンセプト(ワーグナー的スケールで再現したベートーベンというか)で押し切ったものといえるかもしれません。

 第1楽章の冒頭は遅めのテンポで悲劇的ムードに充ち満ちており、主部が始まってからは一転してぐいぐいと煽るようにテンションが上がっていく主情的な演奏に終始。弦はそそり立つ壁の如し、金管の咆哮はパワフルそのもので、いかにもフルトヴェングラー時代の残滓が濃厚に感じられるベルリンの漆黒ともいえる重厚なアンサンブルが、これまたいかにも「往年のドイツ物」の雰囲気を濃厚に感じさせて素晴らしい。ただ、まぁ、中間2楽章では、近年の演奏でクローズアップされることの多い、ブラームスのある意味女性的ともいえる感傷だとかは希薄で、野暮ったいドイツ流の表情で押し通しています。

 最終楽章も意味深な導入から霧が晴れるようなコラールの旋律が登場するまでは、やはり緩急を思い切ってつけた主情的な展開、その後の凱旋のような部分はまさにベートーベン的な男性的なスケール感と推進力で押しまくった演奏で進んでいきます。いやあ、なとんもはや凄い演奏です。しかし、これでステレオ録音だったらさぞや聴き映えがしたろうに、モノラル録音なのがちと残念。もっともリマスターで音圧上げているせいか、それほど聴いていてプアな感じがしないのは幸いですが...。
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