Blogout

音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

ブラームス交響曲全集/ドラティ&LSO,ミネアポリスSO

2006年05月10日 13時34分33秒 | ブラームス
 最近、頻繁に聴くアルバム。ブラームスは交響曲を4曲しか書かず、そのいずれもがロマン派としては控えめな規模な作品だったので、ふたつの序曲とハイドン変奏曲を除けばCD2枚に収まってしまうことが多く、比較的に簡単にブラームスの残した交響曲の全貌を俯瞰することができる訳ですが、これはそうしたスタイルによるドラティ指揮による2枚組。オケは2番のみ当時の手兵だったミネアポリス響で、残りはロンドン響となっています。

 演奏はドラティらしい、早めテンポとシャープなリズムをベースにしたドライな語り口で演奏したもので、10年前くらいだったか、購入した当時、一聴してあまりにブラームス的な情感が希薄な演奏に感じてしまい、早々とお蔵入りしていたものですが、久しぶりに聴いてみたところ、まぁ、当初の印象は似たようなものでしたが、何度か繰り返して聴いていると、聴いているこちらの慣れもあるのか、「おっ、なにげにいいじゃん、この演奏」という感じで、楽しめるようになってきました。

 ブラームスという人の音楽は表向き古典的なたたずまいの中に、いわく名状しがたいロマン派的な情感のような渦巻いて、そのあたりを思い切りクローズアップして、それはもう完璧なロマン派の音楽として演奏したりもできる訳ですが(例えば晩年のワルター等)、ここではむしろ古典的なスタイルはきっちり守り、そこからふんわり香り立つロマン派的な情感をそこはかとなく楽しむみたいな演奏となっている感じがしました。第4番第1楽章の「すすり泣き」のあっさり感など、当初「こりゃねぇだろ」みたいに思いましたが、これはこれでありかななどと思ってきました。

 録音は57年~63年で、ステレオ初期のものですが、マーキュリー・リヴィング・プレゼンスによる録音ですから、最新録音もかくやと思わせる驚異的な定位感と、各楽器の輪郭がくっきりとくまどりされたかのような鮮明さがあります。演奏は今の感覚からすると少々緩いところも散見しますが(特にミネアポリス響の2番)、ブラームスであればそれも許されるかも。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする