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RETURN TO FOREVER / Hymn of the Seventh Galaxy

2005年11月25日 18時47分34秒 | JAZZ-Fusion
 前作からほどなく、同じ73年に発表されたリターン・トゥ・フォーエバーの第3作。メンバーはヴォーカルのフローラ・ブリムとジョー・ファレルが脱退し、彼らの後任は迎えず、そのかわりにビル・コナーズのギターが加わった形で、あくまでも再編されたバンドとなっているあたりがミソか。音楽的にはギターが入ったことから分かる通り、前2作に比べ大きくロック色が前面に出され、前作で強まったスピード感も大幅強化という形で、このアルバムくらいになると、ほぼ現在でも通じるフュージョン・ミュージックの直接の始祖という感じである。

 ジャズ関係の本など読むと、スクウェアなジャズ・ファンだとリターン・トゥ・フォーエバーというとこのアルパムで見捨ててしまったという人が多いらしい。さもありなんとは思う。なにしろ、このアルバムのロック的なエッジの切り立った感じ、ゴリゴリ感はやっぱ、ジャズの語法からするとかなりエキセントリックには違いないだろうし、前2作からの急激な変貌振りも日和ったと見られたのだろう。私のようなロックを聴いて育った人間などからすると、例えばマハビシュヌなどより、こちらの方が遙かにロック的下世話なパワー感のようなものを押さえていると感じすする分、おそらく向こう側(ジャズ側)から見れば、「こりゃもうジャズじゃない」ということになるんだろうと思う。

 収録曲では、3曲目の「Captain Senor Mouse」がまずは全6曲の中でも筆頭にくるべき名曲だろう。スペイン風な情緒を感じさせるテーマを持ちつつも、強烈なスピード感とロック的なリフを織り込んで一気呵成に進んでいく様はなかなか痛快だ。4曲目の「Theme to the Mothership」は入り組んだ変則的なリフを縦横にバンドが乗り切っていくあたりは、いかにもジャズ・ロック的なおもしろさだ。ただし、このあたりなるともはや前2作の音楽の面影ははほとんどなくなっているのもまた事実。5曲目の「Space Circus」はパート1こそ、スペイシーなエレピをフィーチャーして、前作までの浮遊感をちらっと思い出させてくれるが、パート2はポップでファンキーなインスト・チューンになってしまうし、ともあれ第1作の詩情に感動した人なら、これが同じバンドの音かと、落胆しそうな曲のオンパレードであることは待ちがない。

 ちなみギターのビル・コナーズは本作だけで、次からはかのアル・ディ・メオラにスウィッチしているが、ディ・メオラのような壮絶な早弾きこそはないものの、ホールズワースに相通じるようなウネウネ感とロック的にソリッドなフレージングはなかなかのもの。ディ・メオラもいいがコナーズもこのバンドでもう一作くらい作っても良かったと思う。ともあれ、本作以降、リターン・トゥ・フォーエバーはこうしたジャズ・ロック路線を突っ走っていくことなる。
 
コメント (3)
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