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ハイドン交響曲第11番「アダージョ・カンタービレ」/フィッシャー&AHハイドンPO

2005年11月19日 10時22分31秒 | ハイドン
 交響曲第11番は、第5番と同様に通常の交響曲と第1楽章と第2楽章が逆の配列になっているのが特徴です。第1楽章はアダージョ・カンタービレでゆったりとして優雅なムードに終始し、第2楽章がアレグロはいつも通りに軽快な急速調という具合です。しかも、こちらの場合は第1楽章が10分近く、全体の長さの半分近いスペースをとっていて、ぱっと聴いた感じではなんとなく第1楽章が前半、残り3楽章が後半みたいな2部作の如き赴きすら感じほどです。では各楽章をざっとメモしてみたいと思います。

 第1楽章は前述の通りほぼ完全に緩徐楽章と分類されるべき仕上がりです。ゆったりとしたエレガントなムードを湛えている上に、注釈通りに旋律がよく歌っているのが特徴で、古典派の緩徐楽章の典型といってしまえばそれまでですが、オーストリアの田園風景を彷彿とさせるようなスタティックな美しさがく出ています。また旋律の背後で随所に登場する三連符の特徴的なパターンが、弛緩すれすれのところでほどよいスパイスになって、曲を締めているのもまた印象的です。
 第2楽章はアレグロで、前楽章から間髪入れずに始まるせいか、なんとなく最終楽章のように聴こえてこないこともないです。最後まで淀みなく流れるハイドン・パターンで、ふと短調に転調するあたりもいかにもハイドン。また、ちょっとモーツァルト風にこまっしゃくれたいたずらっぽいフレーズが随所に登場します。
 メヌエットである第3楽章はこの交響曲が緩-急-緩-急のジグザグ・パターンで進んでいくことを考慮したのか、ややおとなしめ、トリオの部分など緩徐楽章さながら静けさがあります。

 お約束の表題ですが、ストレートに第1楽章の注釈をそのまま使って「アダージョ・カンタービレ」に決まり。実際、この11番の第1楽章はそのくらい大きな存在感あります。なんかハイドンはこの第1楽章にほとんどパワーを費やしてしまい、あとは彼の職人芸でもって適当にまとめたんじゃないか....などと邪推したくなるほどですから。
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