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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
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CHICK COREA / Return to Forever

2005年11月23日 13時52分25秒 | JAZZ-Fusion
 チック・コリアが出した1972年の作品。厳密にはチック・コリア名義だが、一般的にはリターン・とぅ・フォーエバーの第1作ということになると思う。この作品、60年代後半に延々と続いた不毛なフリー・ジャズの試行錯誤に終止符をうった一種エポック・メイキングな作品ということでも知られていて、例のカモメのジャケットとその清澄な音楽でもって、ジャズの新時代を高らかにうたいあげたということになっているのだ。私がレコードを買い始めたのは1972年のことだけれど、確かにこのかもめのジャケットは私の済んでいた田舎のレコード屋でも目立つところにディスプレイされていたし、実際音楽を聴いても、ジャズ的にしてはやけにさわやかな音楽というイメージがあったように記憶している。

 私がこのアルバムをきちんと聴いたのは多分80年代の真ん中くらいだったと思うのだけど、その時の印象はそれまでもっていたイメージとはかなり違っていて、まぁ、さわやかとには違いないけれど、同時に妙に虚脱したような浮遊感と混沌が入り交じったような雰囲気が前半には濃厚に漂っていて、要するにフリー・ジャズの呪縛のようなものが、まだまだ残っていたのだということだった。特に1曲目のタイトル・トラックのフローラ・ブリムのスキャット・ヴォーカルなど、よくよく聴くと後半など夜叉の如き激しい表情を見せるし、バンドの演奏もかなりフリーな要素をかかえていると思う。
 ともあれ、そうした浮遊感とか混沌とした要素は不思議なことに曲を進めるにしたがって徐々に消えていき、ラストの名曲「ラ・フィエスタ」で一掃されてしまうように私には聴こえたのだった。この曲では前述の要素に代わってコリアお得意のスペイン情緒とスピード感がフィーチャーされていて、まさにこの曲に至ってフリー・ジャズ的な混沌とは完璧にオサラバした新しい次元にバンドが突入したという感じがしたものである。

 さて、今回、これを書くために改めてこのアルバムを聴いたところ、このアルバムの混沌とか浮遊感というのは、フリー・ジャズというより、むしろマイルス「びっちず・ブリュウ」あたりの無国籍なエスニック・サウンドの影響かな....という気もしてきた。あと、なんとかなく古くさい感じがしないでもなかった、エレピの音色やファレルのフルートなども、時代が完全に一回りしたせいか、現在では非常に新鮮にきこえたもの発見だった。ついでに書くと、やはり私にはこのアルバム、ラストの「ラ・フィエスタ」が登場するを、未だか未だかと待っているアルバムである。そのくらい私にとってこの曲は光輝いている曲なのである。時代によってアルバムに収録された音楽に対するイメージはかわったが、はこのことだけは30年以上たってもかわらない。
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