バーナード・ハーマンとアルフレッド・ニューマンとの合作による興味深いサウンド・トラックだ。あの唯我独尊なハーマンがどう他の作曲家(しかも大先輩で恩人のアルフレッド・ニューマン!)と、どんな形でコラボネートしたのか、以前から気になっていたのだが、3000枚限定プレスとはいえ、最近ではこんなものまで復刻される訳だ。映画ファンにはなんとも有り難い時代である。
さて、英語がからきしな筆者は、このディスクについているブックレットに書かれているであろう本コラボレーションに至る経緯については全く不明なのだが、クレジットからして、ほぼ6~7割方の曲をハーマンが書き、残りをニューマンが担当という形になっているので、ふたりで共作した曲があるという訳ではないようだ。おそらく、映画界にありがちな時間的制約だとか、編集後に新たな音楽が必要になったとか、そうした理由でニューマンの曲が補強され、その結果このコラボレーションが実現したような感じではないだろうか。いずれにせよニューマンの曲はハーマンの強烈なアクを前にいささか損をしている格好だ。したがって、あまり濃くはないが、全体から受ける印象は紛れもなくどうしてもハーマンのサントラとなってしまうのではないか。
オープニング・タイトルはコーラスを交えた壮大なもので、エピック映画の音楽といえば、ミクロス・ローザがを作ったスタイルの後塵を拝した格好だが、低い音域を金管をやたらと咆哮させ、やや不安な雰囲気を醸し出すあたりは、やはりハーマンらしさが出ている。4,10,12,19曲目ではハリー・ハウゼンの特撮ものに共通する強烈でダイナミズムとエキゾチックさが共存していて、このあたりのエキセントリックさもう完全なハーマン節といってよかろう。8~9,14曲目のややニューロティックな叙情はこれを録音した翌年の「めまい」あたりに共通するこれまた彼独特なムードである。ついでに7曲目の木管とストリングスを絡めて可愛らしく女性的に進行していく様も、「幽霊と未亡人」あたりと共通するハーマンのアナザー・サイドだ。
一方、ニューマンの担当分は、割と人間ドラマの部分の背景で流したものが多いらしく、エスニックなパーカスを絡めエキゾチックなムードを取り入れつつも、基本的にはこの人の穏健な旋律を生かした比較的まっとう楽曲が多い。ただ、11,15曲目あたりでは薫陶を受けたシェーンベルクの影響なのか、「浄夜」や思わずロマンティックさや新古典派風なオーケストレーションが時に見え隠れしているのが興味深いところではあるが。
音質ははっきり聴きとれないところもあるが、ステレオ録音のような気がするこれが録音されたのは55年だから、私の耳が間違っていなければ奇蹟のようなステレオ録音だ。ただし、マスターの劣化が進んでいるのか、音そのもののレンジは狭く、音もぼやけ気味だ。また、ノイズリダクションを強めにかけているようで、こういう処理をした時にありがちなことなのだが、弱音部ではやや不自然な聴こえ方をしたりするのは、まぁ、いたしかたところだろう。とはいえ、55年の録音ということを考えれば文句はいえまい。
さて、英語がからきしな筆者は、このディスクについているブックレットに書かれているであろう本コラボレーションに至る経緯については全く不明なのだが、クレジットからして、ほぼ6~7割方の曲をハーマンが書き、残りをニューマンが担当という形になっているので、ふたりで共作した曲があるという訳ではないようだ。おそらく、映画界にありがちな時間的制約だとか、編集後に新たな音楽が必要になったとか、そうした理由でニューマンの曲が補強され、その結果このコラボレーションが実現したような感じではないだろうか。いずれにせよニューマンの曲はハーマンの強烈なアクを前にいささか損をしている格好だ。したがって、あまり濃くはないが、全体から受ける印象は紛れもなくどうしてもハーマンのサントラとなってしまうのではないか。
オープニング・タイトルはコーラスを交えた壮大なもので、エピック映画の音楽といえば、ミクロス・ローザがを作ったスタイルの後塵を拝した格好だが、低い音域を金管をやたらと咆哮させ、やや不安な雰囲気を醸し出すあたりは、やはりハーマンらしさが出ている。4,10,12,19曲目ではハリー・ハウゼンの特撮ものに共通する強烈でダイナミズムとエキゾチックさが共存していて、このあたりのエキセントリックさもう完全なハーマン節といってよかろう。8~9,14曲目のややニューロティックな叙情はこれを録音した翌年の「めまい」あたりに共通するこれまた彼独特なムードである。ついでに7曲目の木管とストリングスを絡めて可愛らしく女性的に進行していく様も、「幽霊と未亡人」あたりと共通するハーマンのアナザー・サイドだ。
一方、ニューマンの担当分は、割と人間ドラマの部分の背景で流したものが多いらしく、エスニックなパーカスを絡めエキゾチックなムードを取り入れつつも、基本的にはこの人の穏健な旋律を生かした比較的まっとう楽曲が多い。ただ、11,15曲目あたりでは薫陶を受けたシェーンベルクの影響なのか、「浄夜」や思わずロマンティックさや新古典派風なオーケストレーションが時に見え隠れしているのが興味深いところではあるが。
音質ははっきり聴きとれないところもあるが、ステレオ録音のような気がするこれが録音されたのは55年だから、私の耳が間違っていなければ奇蹟のようなステレオ録音だ。ただし、マスターの劣化が進んでいるのか、音そのもののレンジは狭く、音もぼやけ気味だ。また、ノイズリダクションを強めにかけているようで、こういう処理をした時にありがちなことなのだが、弱音部ではやや不自然な聴こえ方をしたりするのは、まぁ、いたしかたところだろう。とはいえ、55年の録音ということを考えれば文句はいえまい。