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オスカー・ピーターソン・トリオ/プリーズ・リクエスト (SACD)

2005年06月09日 18時44分42秒 | JAZZ-Piano Trio
 問答無用の名盤のSACD化です。このアルバムは大昔からビル・エヴァンスの「ライブ・アット・モントルー」と並んでヴァーブの優秀録音の双璧との定評がありましたが、「ライブ・アット・モントルー」が、ある種オーディオ的な鮮明さが秀でたものだったとすると、こちらは低音の太さ、実在感のようなものがハイファイ的快感を感じさせるものといっていいと思います。これを本国にあるマスターから日本のオノ・セイゲンが新たにリマスターしてSACD化したものが本ディスクですが、同時にSACD化された他のヴァーブ作品と同様、非常にハイクウォリティな仕上がりになっています。

 オノ・セイゲンって人は、ちょっとごつごつした凹凸感ある独特の音づくりをする人で、例えばキース・ジャレットのスタンダーズのライブLDの2枚目も、この人が録音関係を仕切ったせいで、従来のマンフレッド・アイヒャーとはかなり異なる音になったりしてましたが、こちらはリミックスではなく、単なるリマスターなので、まぁ、そこまで激変することもないだろう....と思っていたら、まぎれもなくオノセイゲン流の骨太な音になっているのは、さすがというべきでしょう。このアルバム、前述のとおり、もともと優秀録音として評価の定まっていた訳ですが、ピアノの聴こえ方はあまりかわらないと思いますが、中央から右チャンネルに定位するベースの重量感と輪郭が増しますし、左チャンネルのドラムスも残響の減衰がよくわかる方向に変化させているように感じました。

 それにしても、このアルバムどうしてこんなに良い録音でとれたんでしょうかね。どうもヴァーブって会社は、あんまり録音に神経使っているようなレーベルじゃなさそうなので、これもまぐれで大当たりみたいな感じなのかな?と、どうしても思ったりしちゃいます。なにしろこれの前の作品にはこれほどの録音はほとんどありませんから....(ビル・エヴィンスも同様です)。あと、これで1曲1曲にもう少し長いインプロビゼーションが入っていれば、内容的にも個人的には満点なんですけどね。非常にポピュラリティに富んだ選曲で、ジャズ的エッセンスを非常に充実した演奏でコンパクトにまとめた....という美点は認めるものの、ロンドン・ハウスのライブ盤が大好きな当方としては、やっぱちょいと食い足りない感じがしちゃうのが正直なところ。

 それにしてもSACDの音はやっぱいいですね。何度も書きますが、とにかく音が自然です。SACDを聴きつけた後CD聴くと、CDのデジタル臭さってのがよく分かります。初期のソニーが出した一連のSACDってのは、やり方がマズかったせいかどうかわかりませんが、音質的には「なんだ、こんなもんかい」的な失望感を感じるものが少なくなかったですけど、最近のマーキュリー・リヴィングプレゼンス・シリーズやRCAのリビング・ステレオなどがシリーズといい、このシリーズといい、SACDの素性の良さが分かるリマスタリングが他のメーカーから増えてきたのでうれしい限りです。SACDも最近にしてようやく軌道にのってきたというところでしょうか。
コメント (4)
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