今日の日記は前回のバー「45」についての日記の続きです
さてウィスキーを味わおうとGGIは「カティサークある?あったらオンザロック、ダブルでお願い」とオールドマダムに頼みました
背丈は高くはない少し背が丸くなったオールドマダム、ありますよと答えてウィスキーの瓶が並んだ棚を探しますがなかなか見つかりませぬ、おやおや、だいじょうぶかなあと思っていましたらカウンターの中央より右寄りの席にいたお客さんが助け舟
「ああ、あるある、おばちゃん、あそこ、二段目の右の隅っこのほうや、そう、その黄色いラベルの瓶や」
マダム、無事に見つけて手にした瓶をGGIに見せてからカウンターのなかほどに戻っていきました。瓶にはもう3分の1も残っていないのですが、GGIと知人と、まあ、ある分を飲もうということにいたしました。
瓶を探しているうちに注文の内容を忘れてしまったのでしょうか、さきほど瓶を見つけてくれたお客さんがマダムに言っております。
「あそこのお客さん、ふたりともさっきオンザロック、ダブルと言うてはった」
まことに親切な方で感謝であります。やがてオンザロックが入ったグラスが目の前に姿を現すと、知人が申しました
GGIさん、どうしてカティ―サークにこだわるんですか?
オー、グッドクエスチョン!あのですねえ、すこし丁寧に説明いたしますと、カティサーク以外のほとんどのウィスキーはまがいものなのです、まがいものはもっともらしくウィスキー色を呈していますが、そういうのはまちがいなくわざわざ色を付けているのです、つまりウィスキーらしく見せるために着色しているのです。だから、当然ながら、そのようなウィスキーはまがいもの以外のなにものでもありません。・
わざわざ色をつけているのですか?ほんとですか?
君は疑い深いなあ、オレはトランプじゃない、だからオレは一日に一回しかウソつかんことにしてる、今日はすでに一回某氏にウソついてきたから、この話はほんまや、たいていのウィスキー、茶色と言うか琥珀色とかいかにもウィスキー然とした色しているけど、あれはカラメルで着色してわざとウィスキーらしい色にしているのや、
ところが、わが愛するカティサークは着色して人の目を欺くような小汚いケチなことはしていない。その証拠に、このグラス、よく見てみろ。中のウィスキー、茶色や琥珀色なんかではなく薄い黄色、すなわちライトイエローという感じやろ。これがほんとうの本来のウィスキーの色、分ったか!いくら樽で長い間寝かしておいてもウィスキー然とした茶色になんかになったりはせん、オレは偽札以外の偽物は大キライ、安物でも本物を愛する主義、それが真正シティボーイの矜持というもんや
などと思わずウンチクを傾けてしまいました。
(よろしければ今日の写真に写っているカティサークが入っているウィスキーグラスをご覧になりGGIが言っていることがウソでないことをご確認ください)
飲みはじめたとき、カウンターにはGGIら以外に三組の客がいました、ほとんどは女性、男性ではなく、若くはない中年あるいは中年以上?の女性がほとんど・・・いったい、このバーどうなってるんだ・・・中年以上オバサンばかりバーか・・・ここはばバーなのか、なんかちょっとヘンやなあ・・・
とりわけ、この中でカウンターの真ん中あたりに座っている女性三人組、GGIは店に入ったときから気になっておりました。ちょっぴり風変りな三人組だったからです。
三人の真ん中にちょこんと座っているのは・・・何と尼さん・・・すなわち尼僧さんであります、その両側に御付きの者という感じの黒っぽい服装の中年女性・・・
どうしてこんなところ、こんな場末のジャズバーなんかに尼さんがいて、カウンターで酒なんかくらっているのだ?この場末のバーに場違いじゃないか・・・
頭はきれいに剃髪、色白まん丸顔、そう若くはないようですが年齢不詳、服装は法衣というのでせうか、ちゃんとした尼僧の出で立ちです・・・静かに微笑みを浮かべながら両側の婦人を何やら小声で話しております
いったい、ジャズバーに尼さん・・・この店、どうなってるんだあと思いながら何となくときどきこの三人組に視線を向けていましたら尼僧さんと目があってしまいました・・・
なんか言わなければなりませぬ、よわったなあ、何をいえばいいんだ、なにしろ相手は尼さんだぞ・・・いったいどういう口のきき方をしたらいんだ・・・まさか、あんた、どうしてこんなところにいるんや、場末のジャズバーに尼さんなんか来るな、というわけにもいかんしなあ・・・・でも、思い切って
あの~、失礼ですが、湖都のどこかのお寺のかたでいらっしゃいますか?
いえ、お寺は、京都のお寺です、でも住まいはこの湖都です・・・
ここでもう少し何か言わなければと思っておりましたら、尼僧さんの左側、GGIに近い側の席にいた婦人が声を少し潜めて何かのたまひました
・・・あの~、この方・・・実は今度のセンキョに出られるんです・・・立候補されるんです・・・
ジャ~ン、今なんて言った!センキョ?センキョだって?
GGIのオツムは一瞬混乱しました。今夜、このバーでの三つ目の誤算、想定外・・・・場末のバーに尼さんがやってきて酒を飲んで選挙に出るって!!??
えっ!いま何とおっしゃいました?、センキョとおっしゃいましたか、センキョって選挙のことですか?選挙って、あの議員かなんかの選挙ですか?いったい何の・・・・
おもわず声が大きくなっていました
湖都の市議選です。今年四月にごさいますでせう・・・・
確かに4月に市議選があることになっています、でも・・・あの選挙に?この方が?この尼僧さんが?・・・ほんとですか?・・・本気ですか?・・・
もちろん本気です、本気でいらっしゃいます。ですから、私たち二人はこの方を何とか応援しなくてはと思って・・・でも、私たち、選挙のことなんか何も知りませんので・・・
驚きのあまり、おもわず言葉が乱暴になります
あのねえ、おばちゃん、分かってますかあ・・・選挙って、まずカネがかかるんや、とにかくカネがようけいる、最低でも、落選覚悟の泡沫候補でも軽く100万円以上はかかる、市議選の場合は供託金が30万円、この30万は得票数が法定以下だった場合は没収、戻ってこない、それにポスター代がまあ100万前後、おまけにポスター貼って回るのがタイヘン、湖都はとなりの町を吸収合併したりして市域がやけに広いからなあ・・・選挙カーもいるし、運転手もいる・・・・
実は、GGIはこれまで知人たちの選挙を計4回手伝った経験があるのです。一回は湖都の市長選、一回は湖国の県議選、そして湖都の市議選が二回、しかしながらGGIが応援した人物はすべて落選の憂き目というか、4回のうち3回ははじめから当選見込み薄・・・ですから、この目の前にいる静かな物腰の尼僧さんが選挙に出るつもりと聞いて、過去4回の悪夢が突然よみがえってきてしまいました・・・できれば、やめとけと言いたかったのですが、どうやら本気も本気の模様・・・
あまりの想定外の展開に気が動転しておりましたら、この尼僧さんのお付きの婦人曰く
私たち、ほんとうに選挙のことなんか何も知らないんです、どうか私たちを助けてください、お願いです、どうか・・・・
う~ん、市議選で当選ライン、どのくらいだったかなあ・・・
2000票超ぐらいというように聞いていますけど・・・
だんだんヘンな雲行きになってまいります、想定外の事態は深まるばかり・・・ジャズバーのなかに人を惑わす夜霧が立ちこめてきます
GGIは思い切って尼僧さんにきいてみました
市議選に立候補されるということですけど、こんなことお聞きして失礼かもしれませんが、あなたは、御年は、いくつでいらっしゃいますか・・・
尼僧さん静かにのたまひました
ナナジュウゴ・・・75歳でございます、後期高齢者です、ですから後期高齢者立候補者というわけでごさいです・・・おそらく最高齢の候補者ということになるでせうね、覚悟しております・・・・高齢者のみなさんのお役にたつために立候補を・・・
ガアア~ン・・・なぬ!・・・75歳!・・・後期高齢者だと!
GGIは自分の年を忘れて驚愕したのですがオツムが混乱してしまいましたので、
そうですかあ・・・75歳・・・後期高齢者かあ・・・でもオレ、77歳、いや、あと数か月したら78やから勝ったなあ
などと気がついたら、訳のわからないことをほざいていてしまっていました。
今宵、想定外の波がまたしても突如押し寄せてきたのです・・・いったいこのバーはどうなってるのや・・・これじゃ、まるで後期高齢者バーじゃないか・・・
(おそらくつづきます)
今日の写真はバーのカウンターの隅っこを撮ったものです。古いダイヤル式の黒い電話機が写っています。手入れがよくピカピカ、ためしに電話をかけてみましたらちゃんとかかりました。手前に写っているのはカティ―サークが入っているグラス。ごらんの通り、ウィスキー色なんかしておりませぬ。高貴かつエレガントな本当のウィスキー色、すなわちライトイエローを呈しています。
なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・
グッドナイト・グッドラック!
さてウィスキーを味わおうとGGIは「カティサークある?あったらオンザロック、ダブルでお願い」とオールドマダムに頼みました
背丈は高くはない少し背が丸くなったオールドマダム、ありますよと答えてウィスキーの瓶が並んだ棚を探しますがなかなか見つかりませぬ、おやおや、だいじょうぶかなあと思っていましたらカウンターの中央より右寄りの席にいたお客さんが助け舟
「ああ、あるある、おばちゃん、あそこ、二段目の右の隅っこのほうや、そう、その黄色いラベルの瓶や」
マダム、無事に見つけて手にした瓶をGGIに見せてからカウンターのなかほどに戻っていきました。瓶にはもう3分の1も残っていないのですが、GGIと知人と、まあ、ある分を飲もうということにいたしました。
瓶を探しているうちに注文の内容を忘れてしまったのでしょうか、さきほど瓶を見つけてくれたお客さんがマダムに言っております。
「あそこのお客さん、ふたりともさっきオンザロック、ダブルと言うてはった」
まことに親切な方で感謝であります。やがてオンザロックが入ったグラスが目の前に姿を現すと、知人が申しました
GGIさん、どうしてカティ―サークにこだわるんですか?
オー、グッドクエスチョン!あのですねえ、すこし丁寧に説明いたしますと、カティサーク以外のほとんどのウィスキーはまがいものなのです、まがいものはもっともらしくウィスキー色を呈していますが、そういうのはまちがいなくわざわざ色を付けているのです、つまりウィスキーらしく見せるために着色しているのです。だから、当然ながら、そのようなウィスキーはまがいもの以外のなにものでもありません。・
わざわざ色をつけているのですか?ほんとですか?
君は疑い深いなあ、オレはトランプじゃない、だからオレは一日に一回しかウソつかんことにしてる、今日はすでに一回某氏にウソついてきたから、この話はほんまや、たいていのウィスキー、茶色と言うか琥珀色とかいかにもウィスキー然とした色しているけど、あれはカラメルで着色してわざとウィスキーらしい色にしているのや、
ところが、わが愛するカティサークは着色して人の目を欺くような小汚いケチなことはしていない。その証拠に、このグラス、よく見てみろ。中のウィスキー、茶色や琥珀色なんかではなく薄い黄色、すなわちライトイエローという感じやろ。これがほんとうの本来のウィスキーの色、分ったか!いくら樽で長い間寝かしておいてもウィスキー然とした茶色になんかになったりはせん、オレは偽札以外の偽物は大キライ、安物でも本物を愛する主義、それが真正シティボーイの矜持というもんや
などと思わずウンチクを傾けてしまいました。
(よろしければ今日の写真に写っているカティサークが入っているウィスキーグラスをご覧になりGGIが言っていることがウソでないことをご確認ください)
飲みはじめたとき、カウンターにはGGIら以外に三組の客がいました、ほとんどは女性、男性ではなく、若くはない中年あるいは中年以上?の女性がほとんど・・・いったい、このバーどうなってるんだ・・・中年以上オバサンばかりバーか・・・ここはばバーなのか、なんかちょっとヘンやなあ・・・
とりわけ、この中でカウンターの真ん中あたりに座っている女性三人組、GGIは店に入ったときから気になっておりました。ちょっぴり風変りな三人組だったからです。
三人の真ん中にちょこんと座っているのは・・・何と尼さん・・・すなわち尼僧さんであります、その両側に御付きの者という感じの黒っぽい服装の中年女性・・・
どうしてこんなところ、こんな場末のジャズバーなんかに尼さんがいて、カウンターで酒なんかくらっているのだ?この場末のバーに場違いじゃないか・・・
頭はきれいに剃髪、色白まん丸顔、そう若くはないようですが年齢不詳、服装は法衣というのでせうか、ちゃんとした尼僧の出で立ちです・・・静かに微笑みを浮かべながら両側の婦人を何やら小声で話しております
いったい、ジャズバーに尼さん・・・この店、どうなってるんだあと思いながら何となくときどきこの三人組に視線を向けていましたら尼僧さんと目があってしまいました・・・
なんか言わなければなりませぬ、よわったなあ、何をいえばいいんだ、なにしろ相手は尼さんだぞ・・・いったいどういう口のきき方をしたらいんだ・・・まさか、あんた、どうしてこんなところにいるんや、場末のジャズバーに尼さんなんか来るな、というわけにもいかんしなあ・・・・でも、思い切って
あの~、失礼ですが、湖都のどこかのお寺のかたでいらっしゃいますか?
いえ、お寺は、京都のお寺です、でも住まいはこの湖都です・・・
ここでもう少し何か言わなければと思っておりましたら、尼僧さんの左側、GGIに近い側の席にいた婦人が声を少し潜めて何かのたまひました
・・・あの~、この方・・・実は今度のセンキョに出られるんです・・・立候補されるんです・・・
ジャ~ン、今なんて言った!センキョ?センキョだって?
GGIのオツムは一瞬混乱しました。今夜、このバーでの三つ目の誤算、想定外・・・・場末のバーに尼さんがやってきて酒を飲んで選挙に出るって!!??
えっ!いま何とおっしゃいました?、センキョとおっしゃいましたか、センキョって選挙のことですか?選挙って、あの議員かなんかの選挙ですか?いったい何の・・・・
おもわず声が大きくなっていました
湖都の市議選です。今年四月にごさいますでせう・・・・
確かに4月に市議選があることになっています、でも・・・あの選挙に?この方が?この尼僧さんが?・・・ほんとですか?・・・本気ですか?・・・
もちろん本気です、本気でいらっしゃいます。ですから、私たち二人はこの方を何とか応援しなくてはと思って・・・でも、私たち、選挙のことなんか何も知りませんので・・・
驚きのあまり、おもわず言葉が乱暴になります
あのねえ、おばちゃん、分かってますかあ・・・選挙って、まずカネがかかるんや、とにかくカネがようけいる、最低でも、落選覚悟の泡沫候補でも軽く100万円以上はかかる、市議選の場合は供託金が30万円、この30万は得票数が法定以下だった場合は没収、戻ってこない、それにポスター代がまあ100万前後、おまけにポスター貼って回るのがタイヘン、湖都はとなりの町を吸収合併したりして市域がやけに広いからなあ・・・選挙カーもいるし、運転手もいる・・・・
実は、GGIはこれまで知人たちの選挙を計4回手伝った経験があるのです。一回は湖都の市長選、一回は湖国の県議選、そして湖都の市議選が二回、しかしながらGGIが応援した人物はすべて落選の憂き目というか、4回のうち3回ははじめから当選見込み薄・・・ですから、この目の前にいる静かな物腰の尼僧さんが選挙に出るつもりと聞いて、過去4回の悪夢が突然よみがえってきてしまいました・・・できれば、やめとけと言いたかったのですが、どうやら本気も本気の模様・・・
あまりの想定外の展開に気が動転しておりましたら、この尼僧さんのお付きの婦人曰く
私たち、ほんとうに選挙のことなんか何も知らないんです、どうか私たちを助けてください、お願いです、どうか・・・・
う~ん、市議選で当選ライン、どのくらいだったかなあ・・・
2000票超ぐらいというように聞いていますけど・・・
だんだんヘンな雲行きになってまいります、想定外の事態は深まるばかり・・・ジャズバーのなかに人を惑わす夜霧が立ちこめてきます
GGIは思い切って尼僧さんにきいてみました
市議選に立候補されるということですけど、こんなことお聞きして失礼かもしれませんが、あなたは、御年は、いくつでいらっしゃいますか・・・
尼僧さん静かにのたまひました
ナナジュウゴ・・・75歳でございます、後期高齢者です、ですから後期高齢者立候補者というわけでごさいです・・・おそらく最高齢の候補者ということになるでせうね、覚悟しております・・・・高齢者のみなさんのお役にたつために立候補を・・・
ガアア~ン・・・なぬ!・・・75歳!・・・後期高齢者だと!
GGIは自分の年を忘れて驚愕したのですがオツムが混乱してしまいましたので、
そうですかあ・・・75歳・・・後期高齢者かあ・・・でもオレ、77歳、いや、あと数か月したら78やから勝ったなあ
などと気がついたら、訳のわからないことをほざいていてしまっていました。
今宵、想定外の波がまたしても突如押し寄せてきたのです・・・いったいこのバーはどうなってるのや・・・これじゃ、まるで後期高齢者バーじゃないか・・・
(おそらくつづきます)
今日の写真はバーのカウンターの隅っこを撮ったものです。古いダイヤル式の黒い電話機が写っています。手入れがよくピカピカ、ためしに電話をかけてみましたらちゃんとかかりました。手前に写っているのはカティ―サークが入っているグラス。ごらんの通り、ウィスキー色なんかしておりませぬ。高貴かつエレガントな本当のウィスキー色、すなわちライトイエローを呈しています。
なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・
グッドナイト・グッドラック!