21日は敬老の日でありました、GGIはことし自治会の副会長ということになっておりますので、会長さんに敬老の日の祝い金、金一封を高齢者(70歳以上)がいるお家に配ってあるくようおおせつかりました
前日、会長である中年の元気おばさんがGGIに申しました
「GGIさんは五組と六組の方々に配ってください、ほかの組は私ともう一人の副会長さんで配ります、楽しみにしておられる方もいらっしゃいますから、GGIさんは不断より早起きして、午前中に早い目にもっていってくださいね」
「御意、了解です」
当日、かようなしだいで若干早起き、午前9時前におきてシャツとパジャマでうろうろしておりましたら会長さんが正装姿で玄関先に現れました
「まだ、そんなかっこうしてはるんですか、GGIさんの組の○○さんには私が民生委員さんといっしょにうかがいます、あっ、それとGGIさん、ご自分にも配るのを忘れたらアキマセンよ」
「御意、了解」
GGIが属している自治会の所帯数は70弱であり七つの組に分かれています、GGIは自分の組である5組とお隣の6組に配ってあるかねばなりませぬ、5組は8世帯のうち7世帯に該当者が7人、お隣の六組は9世帯のうち6世帯に該当者が6人・・・・まことに高齢化社会であります・・・
九時半過ぎに祝い金の配達に出発いたしました、GGIの組は家々が小さな町工場を取り囲むように並んでいますので、配るのは一周するだけで簡単、でも家族の方がおられても、本人がもう自宅におられない方が3人いました、いずれも施設などに預かってもらっているとのこと・・・そういえばいつの間にか姿を目にしなくなったなあ・・・いずれもGGIの庵のすぐ近くの家のかたです・・・・う~ん、やはり最後はそういうことになるのかなあ・・・GGIはわが行く末をちょっぴり考えざるを得ませんでした。
お隣の6組は、地形が入り組んでいて複雑、それに一度もうかがったことがない家もありますので、少々難儀いたしました、初めて足を踏み入れた路地、その一番奥の家に届けましたら、残りはあと一軒です、でもその家がどこにあるのかわかりませぬ、弱ったなあと思って、この一番奥の家のおばさんにたずねましたら
「○○さんですか、うちの隣やけど、こちらから行くことはできません、一度旧道に戻って川向うに回り、川にそって下ってきはったら小さな橋があります、その橋をわたったところが○○さんのお宅です」
おばさんの言われたとおりに道をたどりましたら、なるほど、平和堂のスーパーさんの筋向いに小さな橋、古い民家が川沿いにありました、住宅会社が日本列島のあちこちにバッコする前に建てられたと思われる築数十年の古びた家です、玄関のまわりには手入れの行き度とした鉢植えがいくつも並んでいます
橋を渡って玄関のベルを押しましたが反応がありませぬ、お留守かなあと思っておりましたら、やがて奥のほうから物音がして玄関のガラス戸が開きました、大きなエプロンをした丸顔の小さなおばあさんが立っておりました、少し腰が曲がっています、ガラス戸をしっかり握っています
「あの~、私、自治会の者ですが、敬老のお祝いを持ってまいりました」
「まあ、ご苦労様さま、待たせてごめんなさいね、私、モノにつかまっていないと立っていられないのです、あなた○○さんの息子さんでしょう、お母さんのこと、よく覚えております」
「えっ、おふくろのことをご存知でしたか!」
このお婆さん、言語極めて明瞭、記憶も確かでありました
「お母さん、背が高くてベッピンさんやったなあ」
「おばあさん、いまおいくつですか?」
「大正9年生まれ、94歳」
「ええっ、94歳!ご家族の方は?」
「一人暮らしです、息子や娘が国道の向こうにいますので勤めの帰りなんかにときどき寄っていきますが、普段は一人です」
「ヘルバーさんなんか頼んでいないのですか?」
「いえ、そのようなこと何にもしていません、何でも自分でやります」
まことに脱帽の極みでありました
「そやけどなあ、ひとりやと話し相手がいないでしょう、それが寂しいなあ、だから通りに面した窓から道を行く人を眺めていたりするんです」
「でも目と鼻の先にスーパーができて大助かりです」
玄関を出て小さな橋をわたり道路を斜めによこぎれば、もうスーパーの敷地なのです、わが庵よりもずっと至近距離のスーパーがあるのです
「あのスーパーにベンチが置いてあるでしょう、私、あのベンチに座っていると知っている人が通ってお話しすることができるんです、ほんとにありがたいです」
それから戦後のモノがなにもなかったころの話になりました、GGI以上にあのころのことをしっかり覚えておいででありました、
かようなしだいでこのお婆さんと半時間ばかりおしゃべり、GGIは帰りにスーパーによって紙コップのコーヒーを飲んで一息ついたのでありました
庵に帰着して、やれやれひと休みと思っておりましたら,しっかり者の会長さんからチェックの電話がかかってきました
「GGIさん、祝い金、もう配らはりました?私の方は留守の家が何軒かあったのですがGGIさんの方はどうでしたか?」
「GGIのほうは無事完売です、みなさん、おられましたので全部配っておきました」
祝い金と申しましてもささやかのものです、500円の商品券が3枚ぽっきり、以前はもう少し多かったのですが、なにしろ今では自治会に属している70世帯のうち60世帯ちかくに「高齢者」がいますので、自治会のお金が足りなくなり、最近減額したのであります・・・
大正9年生まれのおばあさん、いつまでも元気でいてくださいね!
今日の写真は敬老祝いの束を撮ったものです、わざわざクリックしてご覧になるにはおよびません
グッドナイト・グッドラック