透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

024 025 デザインのセンス

2010-06-13 | A 火の見櫓っておもしろい


024 山形村中大池 撮影日100612(現存しない)


025 塩尻市洗馬(小曽部) 100612

 2基の火の見櫓を比べてみると随分印象が違う。

上の山形村の火の見櫓は実に力強く堂々としている。櫓は下から上へと次第に絞り込まれていくが、その形が美しい。4隅のアングル材がなめらかで美しい曲線を描いて上方に伸びている。それを中間部の踊り場が束ね、視覚的にぎゅっと締めている。櫓の頂部をまとめる屋根もこの力強い櫓に相応しく存在感がある。

下は上の火の見櫓と比べると、構造的には少し貧弱な印象を受ける。一番違うのは柱脚部のデザイン。上は4本の脚の踏ん張り方がぴたりと決まっていて安定感があるが、下のは櫓の荷重をしっかり受け止めているということが視覚的に伝わってこない。何十年も風に耐え、地震にも耐えてきたという事実が、構造的に問題はないということの証左なのだが。

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超高層ビルは高度な解析によって構造的な安全性が検証されている。でも視覚的に不安を覚えるようなデザインのビルも目にする。見た目に不安定な形は高度な構造解析が可能にしたとも言えるが、やはり基本は視覚的に安心感を与えるデザインをすることではないだろうか。 

上の火の見櫓から東京タワーを連想した。東京タワーは荷重(横方向からの風荷重)によって生じる応力に忠実に対応した形という印象だが・・・。                   


 

 


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