■ 日本人男性の平均寿命はおよそ82歳、30,000日。私は今年の某月に生後25,000日という節目の日を迎える。既に人生5/6が過ぎ、残り1/6、5,000日。400メートルトラックだと、残りは最後の直線コース、70メートル。平均寿命まで生きると仮定すればこんなことになる。
だが、人生は長短ではない。残りが70メートルだろうが100メートルだろうがそれは関係ない。樋口一葉は26歳で夭折したが奇跡の14カ月と言われるごく短い期間で名作を書き、歴史に名を残している。坂本龍馬が暗殺されたのは31歳の時だった。だが龍馬は日本という国の針路の舵を切った。
上掲の例示から分かるように人生は長短即ち時間軸だけで捉えるべきではないのだ。横軸に時間を据えるなら、縦軸に密度というか、充実度という評価軸を据え、そこに描かれるグラフの積分値(面積)で捉えるべきだと思う。人生観は人それぞれだが、私はこのように考えている。
今春スタートする第二の人生、漫然と日々過ごしてはならないと改めて自分に言い聞かせたい。既に書いたが伊能忠敬は第二の人生で成し遂げた偉業によって名を知られている(過去ログ)。『四千万歩の男 忠敬の生き方』で著者の井上ひさしは「前半生の充実と後半生の偉業」という小見出しの文章を書いているが、伊能忠敬の人生を簡潔にして的確に捉えた小見出しだと思う。偉業など到底無理、だが充実の日々を過ごしたい。そのためには何をどうすれば好いのか・・・。
**僕が前職とは直接関係のない本屋という仕事と巡り合ったのは幸運というしかない(後略)。一歩間違えば、僕も行き場を失って図書館通いをしていたかもしれない。**(『新聞記者、本屋になる』落合 博(光文社新書2021年 200頁)
少し長い期間を要するようなことを達成したい。構想が全くないわけではないから、いずれ書きたい。