(再)(過去ログ)松本市神林下神 下神公民館 4脚88型 撮影日2022.07.29
■ 上の写真でもこの火の見櫓の形がユニークであることが分かる。櫓は上に向かって徐々に絞り込まれて小さくなっているが(いつもこのことを逓減という言葉で表現している)、カーブを描いてはいない。では素直な直線かというとそうでもない。横架材も少なく、踊り場の手すりと床をそれぞれ兼ねた2段と脚部に2段しかない。交叉ブレースは2段のみ。
逆光ぎみだったが、よく撮れたと思う。記録写真としてはこれで十分。いや、そう思ってしまうと向上しないか・・・。
8角形の屋根は少なくないが、8角形の見張り台は少ない。この火の見櫓はその少ない8角形の見張り台を有する1基。見張り台の形状を8角形と見るか、4角形と見るか、判断に迷うことがある。このことについては稿を改めて書きたい。
柱の頂部に斜材(火打)を入れて補強している。これもそれ程多くはないのでは。今までに撮りためた火の見櫓を見なおして、全体形状や屋根、脚などの部位の形状、部材構成(ディテール)の地域的な傾向を分析する作業をしなくては・・・。
見張り台と踊り場の間に横架材を設置しないで、見張り台の床面と見張り台の手すりの間にブレースを入れている。記憶に頼るしかないが、このような例は他にはないのでは。踊り場の手すりにも交叉ブレースを入れて、構造上有効にしているがこれも珍しい。
珍しい、珍しいと書いてきたが、この脚部も珍しい。脚部の中間に横架材を設置し、その上部の垂直構面に斜材を入れている。
なぜこれ程ユニークな火の見櫓が建設されたのだろう・・・。この火の見櫓を製作した鉄工所ではオリジナル志向が強かった?