高知発 NPO法人 土といのち

1977年7月に高知県でうまれた「高知土と生命(いのち)を守る会」を母体にした、45年の歴史をもつ共同購入の会です。

食べる日々4

2023-09-04 09:00:00 | 連載
会員の丸井一郎です。

食べる日々(4)

引き続き
中部ヨーロッパ(「中欧」)で体験した
飲食生態の異質性について。

今回はとくにエグさのこと。
これは参ったという食材の代表は
ナスとタマネギ類。
固さはもちろん、
いわゆるアクの強さに閉口した。
ナスをそのまま味噌汁に入れると
苦渋(苦汁)を飲むことになる
(味噌は1980年代から現地産が拡大)。
いろいろ調査して、
にがりのある塩で事前の処理をすることを学んだ。
タマネギ類の種類が多いこと
(特に南欧産)に気づいたが、
エシャロット(ラッキョウに酷似)の
大ぶりな類を生で食した時には、
二日は消えない
そのエグ味の強烈さに辟易した。
この類は若くなければ、
水で晒すより、炒めるしかないことを学んだ。
彼の地でも、
春先に短期間「春タマネギ」と称して、
ほぼ通常の日本産品に近い
柔らかさと穏やかさを備えたものが出回る。
欧州(中欧)の食材
とくに野菜類のエグさ、
アクの多さについては、
ミネラル類が多いことに起因するらしい。
アクは灰汁とも書き、
カリウム、カルシウム、
マグネシウム、シュウ酸などが関与する。
書物によると、
太古の海洋起源の地層を含む
大陸地殻に乗っている地域(いわゆる「大陸」)では、
土中の多様なミネラル類を吸収した
野菜、穀物や牧草(→肉と乳)の成分が
風味と栄養分の要因として重要とのことである。
一方「山が島で島が山」の日本列島では、
火山活動などによる形成史も若く、
多量の降水に流されて、
ミネラルは海岸(磯)に求めるのが合理的で、
故に一般的であった、とされる。
魚介類(小魚、貝類)や海藻を常食する背景である。
これがヒトの環境への適応戦略に持つ意味と
その身体的な帰結(腸内微生物叢)については、
いずれまた。


図は大地に根を張る樹木のイメージ
例えばワイン用ブドウ樹なら、
その根は地下20mまで伸びて、
岩(の隙間の地下水)のミネラルを吸収する。
いいワインはやや苦い。
(降雨の少ない地域の特性、日本列島では?)

※ この記事は、NPO法人土といのち『土といのち通信』2023年9月号より転載しました。

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