人間スクランブル

「　チョット待ってネ！　ちょっと待ってネ～　」　のナースの叫び声から、
始まる狂騒曲。
このＳ村病院の名物は、朝の八時を過ぎてからだ。
熊さんと呼ばれる名物入院患者がドアを開けた瞬間から、冒頭の叫び声が
行き交うのです。

一瞬の静寂　（＝八時の朝食）　が済むや、先ずは徘徊癖の熊さんが、
ウロウロしようとする。
「　未だ、女性の患者さんのオムツ替えが済んでないから、そっちに行かれんとヨー　」
ナースが、懸命に徘徊を止めようと頑張る。
離れた部屋からは、　「　オーイ、オーイ　」　とコールする大声が聴こえてくる。

時折、ナースが懸命に廊下を走り抜ける振動音が。
ゴミ回収の外国人のおじさんは、ヌレーッと部屋に入るから、トイレもおちおち
安心して出来ない。
その頃には、配膳係が、朝食の済んだ膳を回収に来る。
喰い付き加減をチェックして、　「　片山さん、８点！　」

アッと言う間に、九時に。
中央に位置するヒゲの部屋の前には、朝出の職員が集まって、混乱が始まる。
風呂係りは、手順良く患者さんを入浴させようと　・・・　。
リハビリ係りは、出来るだけ多くをリハ室に連れて行こうと　・・・　。
その間隙を突いて、ナースは患者の熱や血圧を計る。
みんな、ノルマを消化しようと懸命なのだ。
捕まえ損なうと、自分の仕事がドンドン遅れるのでしょうか？
それぞれの思惑が交差しての患者の取り合いで、さながら蜂の巣を突いた様な
賑わいです。

やがて、部屋から、年輩女性が激しく悪態をつく声が。
こんな大変な職場ながら、ここのスタッフ達の笑い声が絶えないのが救いです。
Ｆａｃｅｂｏｏｋ　や　Ｔｗｉｔｔｅｒ　の世界では、最年長の年寄り扱いですが、
此処では、最年少の若者扱いのヒゲです。
張り切って、リハビリしなくっちゃー。　（笑）

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