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「新テロ特措法改定案」参考人質疑での中村哲医師の発言(1)

2009年03月30日 | 国際・政治

2008年11月5日、 参議院外交防衛委員会における「テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案」審議で、2名の参考人が招致され意見を表明しました。その参考人とは、ペシャワール会現地代表の中村哲氏と独立行政法人国際協力機構(JICA)広報室長・力石寿郎氏です。
この参考人質疑については2008年11月22日付け当ブログでも紹介していますが、そのなかで中村哲氏は「軍事力では(テロは)絶対になくならない。ますます拡大する」と述べ、米主導の報復戦争と、それに協力する海自派兵の継続を批判しています。既に12月12日に衆院本会議において再可決で成立されてしまいましたが、大変卓越した重要な意見ですので、改めて中村哲氏の全発言を3回に渡って転載することにします。(サイト管理者)

中村です。ペシャワール会現地代表として発言を許していただきたいと思います。
私は、実はおとといまでジャララバード北部にあります干ばつ地帯の作業現場で土木作業をやっておりました。なぜそうなのか。今日の議題と一見関係ないようですけれども、実はアフガニスタンを襲っているのは、最も脅威なのは大干ばつでありまして、今年の冬、生きて冬を越せる人がどれぐらいいるのか。恐らく数十万人は生きて冬を越せないだろうという状況の中で、私たちは、1人でも2人でも命を救おうということで力を尽くしております。そのために用水路の建設、これは冬が勝負のしどころでありまして、何とか完成しようということで力を尽くしておるわけであります。
繰り返しますけれども、アフガニスタンにとって現在最も脅威なのは、みんなが食べていけないということであります。イギリスの著名な団体の発表によりますと、恐らく500万人の人々がまともに食べられない、飢餓状態にあるというのがアフガニスタンの現実でありまして、このみんなが食べていけない状態、そのためにみんな仕方なく悪いことに手を出す、あるいは傭兵となって軍隊に参加するという悪循環が生まれておりまして、今日審議される事柄と決して無縁どころか、一つの大きな要因を成しておるのではないかというのが私たちの認識であります。
例えば、穀物の自給率は半分以下、小麦の価格はこの1年で3倍から4倍に高騰しておりまして、普通の人々はもう生きていけない。私たちのこの職場でも、職員150名の給与を過去5回にわたって上げましたけれども、それでも食えない状態と。一般の人々にとっては戦争どころではないというのが思いであろうかというふうに私たちは考えております。衣食足って礼節を知るといいますけれども、まずみんなが食えることが大切だということで私たちはこのことを、水それから食物の自給こそアフガニスタンの生命を握る問題だということで、過去、ペシャワール会は干ばつ対策に全力取り組んできました。私たちは医療団体ではありますけれども、医療をしていてこれは非常にむなしい。水と清潔な飲料水と十分な食べ物さえあれば恐らく8割、9割の人は命を落とさずに済んだという苦い体験から、医療団体でありながら干ばつ対策に取り組んでおります。
その結果、現在、ジャララバード北部、具体的にはニングラハル州北部全域に展開いたしまして、5年前から用水路の建設に着手いたしまして、現在20キロメートルを完成しつつあります。その結果、それまで荒廃していた砂漠化地帯で10数万人の人々が帰ってきて生活できるようになる。更にこれが20数キロ完成いたしますと約5000ヘクタールから6000ヘクタールの新たな開墾地が生まれまして、20万人、30万人以上の食料需給が可能になるということで、地域住民と一体になって仕事を進めておるところであります。
それだけではなくて、こういった人海戦術を使った、現在500名以上の作業員が私たちと仕事をしておりますけれども、当然雇用が発生する。それを聞き付けて、パキスタンに逃れておった干ばつ避難民が戻ってくる、あるいは国内避難民が戻ってくるということで、仕事をしている間は日当で何とか食い、それから水が来れば、これは自分たちの土地ですから、自給自足の国なんですね、アフガニスタンは八割以上が農民の国でありまして、彼らは水さえあれば、所得こそ少ないですけれども、農産物さえあれば決して貧しい国ではない。彼らの要求というのはそう高くない。家族がまず一緒にふるさとにおれて十分な食べ物があること、それ以上の望みを持つ人は私は少ないと思います。そういうことでありまして、私たちは、まずは水、それも清潔な飲料水。これは、具体的には1500本の井戸を私たちは掘ってきましたけれども、この事業も継続されております。
さらに、農業生産力、農業自給率を高めるということに力を尽くしております。
(つづく)

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