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「日本は核禁条約参加早く」市長が訴えるも、岸田首相は触れず――広島平和記念式典

2024年08月09日 | 国際・政治
■広島市平和記念式典、5万人参列で開催
 
8月6日「広島原爆の日」に広島市が午前8時から平和記念公園で開いた平和記念式典には、被爆者、遺族、市民、国連や各国代表、政党関係者ら約5万人が参列しました。

式典では、原爆死没者5079人分の名簿が奉納され、累計34万4306人となりました。


■松井市長、核禁条締約を国に求め「平和宣言」

献花、黙祷の後、松井一実市長は「平和宣言」(下記全文参照)を読み上げました。その中で松井市長は、核戦力増強、軍拡競争などに触れ、「希望を胸に心を一つにして行動を起こしましょう。そうすれば、核抑止力に依存する為政者に政策転換を促すことができる」と訴え、日本政府に対し、来年3月の核兵器禁止条約第3回締約国会議にオブザーバー参加し、「一刻も早く締約国となってほしい」と求めました。

しかし、あいさつに立った岸田文雄首相は「核兵器のない世界」と言いながらも、核兵器禁止条約については一言も言及しない姿勢に終始しました。


■湯崎県知事「核抑止こそ現実見ていない」

岸田首相に続いてあいさつに立った広島県の湯崎英彦知事は、ウクライナやパレスチナ自治区ガザで紛争が長期化していることを念頭に「国連が作ってきた世界の秩序の守護者たるべき大国が、公然と国際法違反の侵攻や力による現状変更を試みる」と批判。

広島市出身の湯崎知事は、過去のあいさつで、父親が残した「核兵器は命のみならず、人びとの記憶や街の歴史をも壊す」という意味の「人間的生の全体的破壊」という言葉を引用。これが核兵器の現実だとして、毎年のように「核抑止論」を批判してきました。

今年のあいさつでも、「力には力を」「核兵器には、核兵器を」と核抑止を主張する「現実主義」こそ現実を見ていないと主張。「私たちは、真の現実主義者にならなければなりません。核廃絶は遠くに掲げる理想ではないのです。今、必死に取り組まなければならない、人類存続に関わる差し迫った現実の問題です」と訴えました。

そのうえで今年は、核兵器に投入される資源について「昨年だけでも14兆円を超える資金が投資され、何万人ものコンサルタントや軍・行政関係者、また、科学者と技術者が投入されています」と指摘。その10分の1にあたる1.4兆円や数千人の専門家を投入すれば、「核廃絶も具体的に大きく前進するでしょう」と述べました。


■グテレス国連総長あいさつ「脅威をなくす唯一の道は、核兵器の完全な廃絶だ」

続いて、国連の中満泉軍縮担当上級代表が代読したアントニオ・グテレス国連事務総長のあいさつでは、核兵器とその使用の威嚇が現実世界で起きている脅威だと指摘。「脅威をなくす唯一の道は、核兵器の完全な廃絶だ」と述べました。

このほか式典では、小学生2人が「平和への誓い」を朗読しました。

なお、式典には市が招待したイスラエルの大使が参列しました。


【出典参考】2024年8月7日付け「しんぶん赤旗」、「朝日新聞DIGITAL」


※広島市平和記念式典で松井一実市長が行った平和宣言(全文)は次のとおり。

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広島市長の平和宣言

皆さん、自国の安全保障のためには核戦力の強化が必要だという考え方をどう思われますか。

また、他国より優位に立ち続けるために繰り広げられている軍備拡大競争についてどう思いますか。

ロシアによるウクライナ侵攻の長期化やイスラエル・パレスチナ情勢の悪化により、罪もない多くの人々の命や日常生活が奪われています。

こうした世界情勢は、国家間の疑心暗鬼をますます深め、世論において、国際問題を解決するためには拒否すべき武力に頼らざるを得ないという考え方が強まっていないでしょうか。

こうした状況の中で市民社会の安全・安心を保つことができますか。

不可能ではないでしょうか。

平和記念資料館を通して望む原爆死没者慰霊碑、そこで祈りを捧げる人々の視線の先にある原爆ドーム、これらを南北の軸線上に配置したここ平和記念公園は、施行から今日で75年を迎える広島平和記念都市建設法を基に、広島市民を始めとする平和を願う多くの人々によって創られ、犠牲者を慰霊し、平和を思い、語り合い、誓い合う場となっています。

戦後、我が国が平和憲法をないがしろにし、軍備の増強に注力していたとしたら、現在の平和都市広島は実現していなかったのです。

この地に立てば、平和を愛する世界中の人々の公正と信義を信頼し、再び戦争の惨禍が起こることのないようにするという先人の決意を感じることができるはずです。

また、そうした決意の下でヒロシマの心を発信し続けた被爆者がいました。

「私たちは、いまこそ、過去の憎しみを乗り越え、人種、国境の別なく連帯し、不信を信頼へ、憎悪を和解へ、分裂を融和へと、歴史の潮流を転換させなければなりません。」これは、全身焼けただれた母親のそばで、皮膚がむけて赤身が出ている赤ん坊、内臓が破裂して地面に出ている死体…生き地獄さながらの光景を目の当たりにした当時14歳の男性の平和への願いです。

1989年、民主化に向けた市民運動の高まりによって、東西冷戦の象徴だったベルリンの壁が崩壊しました。

かつてゴルバチョフ元大統領は、「われわれには平和が必要であり、軍備競争を停止し、核の恐怖を止め、核兵器を根絶し、地域紛争の政治的解決を執拗に追求する」という決意を表明し、レーガン元大統領との対話を行うことで共に冷戦を終結に導き、米ソ間の戦略兵器削減条約の締結を実現しました。

このことは、為政者が断固とした決意で対話をするならば、危機的な状況を打破できることを示しています。

皆さん、混迷を極めている世界情勢をただ悲観するのではなく、こうした先人たちと同様に決意し、希望を胸に心を一つにして行動を起こしましょう。

そうすれば、核抑止力に依存する為政者に政策転換を促すことができるはずです。

必ずできます。

争いを生み出す疑心暗鬼を消し去るために、今こそ市民社会が起こすべき行動は、他者を思いやる気持ちを持って交流し対話することで「信頼の輪」を育み、日常生活の中で実感できる「安心の輪」を、国境を越えて広めていくことです。

そこで重要になるのは、音楽や美術、スポーツなどを通じた交流によって他者の経験や価値観を共有し、共感し合うことです。

こうした活動を通じて「平和文化」を共有できる世界を創っていきましょう。

特に次代を担う若い世代の皆さんには、広島を訪れ、この地で感じたことを心に留め、幅広い年代の人たちと「友好の輪」を創り、今自分たちにできることは何かを考え、共に行動し、「希望の輪」を広げていただきたい。

広島市は、世界166か国・地域の8400を超える平和首長会議の加盟都市と共に、市民社会の行動を後押しし、平和意識の醸成に一層取り組んでいきます。

昨年度、平和記念資料館には世界中から過去最多となる約198万人の人が訪れました。

これは、かつてないほど、被爆地広島への関心、平和への意識が高まっていることの証しとも言えます。

世界の為政者には、広島を訪れ、そうした市民社会の思いを共有していただきたい。

そして、被爆の実相を深く理解し、被爆者の「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」という平和への願いを受け止め、核兵器廃絶へのゆるぎない決意を、この地から発信していただきたい。

NPT(核兵器不拡散条約)再検討会議が過去2回続けて最終文書を採択できなかったことは、各国の核兵器を巡る考え方に大きな隔たりがあるという厳しい現実を突き付けています。

同条約を国際的な核軍縮・不拡散体制の礎石として重視する日本政府には、各国が立場を超えて建設的な対話を重ね、信頼関係を築くことができるよう強いリーダーシップを発揮していただきたい。

さらに、核兵器のない世界の実現に向けた現実的な取組として、まずは来年3月に開催される核兵器禁止条約の第3回締約国会議にオブザーバー参加し、一刻も早く締約国となっていただきたい。

また、平均年齢が85歳を超え、心身に悪影響を及ぼす放射線により、様々な苦しみを抱える多くの被爆者の苦悩に寄り添い、在外被爆者を含む被爆者支援策を充実することを強く求めます。

本日、被爆79周年の平和記念式典に当たり、原爆犠牲者の御霊に心から哀悼の誠を捧げるとともに、核兵器廃絶とその先にある世界恒久平和の実現に向け、改めて被爆者の懸命な努力を受け止め、被爆地長崎、そして思いを同じくする世界の人々と共に力を尽くすことを誓います。

皆さん、希望を胸に、広島と共に明日の平和への一歩を踏み出しましょう。


令和6年(2024年)8月6日
広島市長 松井 一實

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※パレスチナに平和を!イスラエルはガザへの軍事攻撃を止めろ! 

(※緊急行動は終わりました。)


※ #ロシアはウクライナ侵略をやめろ!



※平和、いのち、くらしを壊す 大軍拡・大増税に反対しよう!
■署名用紙は下記「憲法共同センター」ホームページから
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※ #統一教会の宗教法人解散を求めます
■署名活動はオンライン署名サイト「Chage.org」で行われます。
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※新たな「憲法改悪を許さない全国署名」にご協力を

(9条改憲NO!全国市民アクション)http://kaikenno.com/?p=1826
■これまで取り組んできた「安倍9条改憲反対!改憲発議に反対する全国緊急署名」に変え、新しい情勢に合わせた「憲法改悪を許さない全国署名」に取り組みます。
■ネット署名 
https://chng.it/R2YgNbLD
■署名用紙(プリントしてお使いください)
署名用紙はこちら


2021年1月22日、核兵器禁止条約が発効へ!
引き続き署名国・批准国を増やし、実効性ある条約に! 
♯日本政府は核兵器禁止条約に背をむけるな
♯米国など核保有国は核兵器禁止条約に参加、署名・批准を


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