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「原爆投下は国際法違反」を判断し、今の核兵器禁止条約に繋がる判決を解説――NHK「みみより!解説」

2024年09月15日 | 国際・政治
■「虎に翼」解説が秀悦

日本史上初めて女性弁護士として法曹界に飛び込み、判事、裁判所長を務めた三淵嘉子(みぶち・よしこ)をモデルにオリジナルストーリーで放映されるNHK連続テレビ小説「虎に翼」が話題です。

このほど2024年9月11日に放送されたNHK「みみより!解説」での「虎に翼」解説シリーズの(7)「原爆裁判と核兵器廃絶への願い」が秀悦でした。

「原爆投下は国際法違反だ」と世界で初めて判決を下した裁判官の三淵嘉子さんの「原爆裁判と核兵器廃絶」に対する姿勢を紹介しました。


■原爆裁判の判決シーンを振り返って

ドラマ出紹介された原爆裁判について、アナウンサーから三淵嘉子さんも関わっていたかとの問いに、清永聡解説委員は「はい。実際に担当裁判官3人の中の1人が彼女でした。原爆裁判は、1955年に広島と長崎の被爆者の5人が国を相手に起こした裁判で、原爆投下が国際法に違反するかどうかが真正面から争われました」と答え、9月6日金曜日に放送された判決のシーンを振り返りました。

――開廷します。判決主文を後に回し、先に判決理由の要旨を読み上げます。当時、広島市にはおよそ33万人の一般市民が、長崎市にはおよそ27万人の一般市民が住居を構えており、原爆投下が仮に軍事目標のみをその攻撃対象としていたとしても、その破壊力から無差別爆撃であることは明白であり、当時の国際法から見て違法な戦闘行為である。原爆被害の甚大なことは、一般災害の比ではない。被告がこれに鑑み十分な救済策を取るべきことは他言を要しないであろう。我々は本訴訟を見るにつけ、政治の貧困を嘆かずにはおられないのである。
主文、原告らの請求を棄却する。――



■被害者に寄り添った判決理由が胸に響く

清永氏は、このドラマで読まれた判決文は、実際に1963年12月に言い渡された本物の判決で、主文を後回しにして理由から読んだのも実際と同じと紹介。

これにアナウンサーは、「棄却」としたものの、判決主文の前に読まれた理由が「被害者に寄り添ったもので、胸に響きますね」と感想を述べていました。


■判決文以外、全て廃棄されたことは残念

そのうえで清永氏は、「このドラマは日本反核法律家協会という団体が保管している、当時の弁護士の記録を参考にしました。実際の裁判は準備手続きだけで実に27回、口頭弁論は結審まで9回、8年に及びました。この記録の中には三淵さんの名前もこんな風に書かれています。訴状には、被爆による健康被害に加え、満足に働けず貧困に苦しんだことなども記されています」と紹介したうえで、「こういう記録は、本来なら裁判所が保存すべきです。しかし私は問い合わせたのですが、残っていないという回答でした。判決文を除いて全て廃棄したとみられます。本来、『特別保存』(※1)という仕組みがあるはずなんですが、活用されていませんでした。残念なことです」と裁判所の対応を憂いました。


■実際の弁護団は?

実際の弁護団はどうだったのかとのアナウンサーの質問に、清永氏は、実際は岡本尚一弁護士と松井康浩弁護士という2人が弁護団としてあたったこと。中心だった岡本弁護士はドラマと同じように提訴の3年後1958年に亡くなったため、まだ若かった松井弁護士が担うということになったことを紹介しました。


■「国際法違反」世界初の判断、国に「被爆者支援」求める

また判決文の特徴について、清永氏は「最大の争点だった国際法違反について、原爆投下が無差別爆撃であり、当時の国際法から見て違法な戦闘行為であると明言しています。これは世界でも初めての判断です。ただし、原告の賠償は認めませんでした。
もう一つは被爆者への支援です。救済策を取るべきことに多くを述べる必要はない。そして最後には、政治の貧困を嘆かずにはおられないと述べて国に救済策を強く促す内容になっているわけなんですね」と指摘しました。



▲判決内容は(出所:NHK「みみより!解説」画面より)


■「特別措置法」「被爆者支援法」、そして核兵器禁止条約に繋がる

判決はこのまま確定した訳ですが、この裁判は、世論の高まりもあって、判決後、1968年の「原子爆弾被爆者に対する特別措置法」1995年の「被爆者援護法」が施行されるなど、徐々にではあるものの支援策が実現していった点を強調。



▲もたらした影響(出所:NHK「みみより!解説」画面より)


そして、この判決文が英訳されて海外でも知られるようになると、1996年に「国際司法裁判所で勧告的意見」が記され、さらに2021年発効の核兵器禁止条約では、「核兵器の使用は非人道的で国際法に違反する」とされた歴史を紹介。

日本反核法律家協会の大久保賢一会長が、この原爆裁判が「国際司法裁判所の勧告的意見を経由して、核兵器禁止条約へと継承されている原爆裁判は現代にも生きているんだ」というふうに指摘していると解説しました。


■三淵嘉子さん自身も核兵器廃絶署名の先頭に

そのうえで、清永氏は、この本質は核兵器に限らないと思うとし、多くの市民を巻き込むといった無差別攻撃は今でも国際法で禁じられているのに、現実は違い、多くの子どもが犠牲となっているガザ地区のことなどを指し、この問題は決して過去のことではないと思うと述べました。

三淵さん自身は、この原爆裁判についてどうとらえているか尋ねられた清永氏は、この原爆裁判について、三淵さん自身が語った記録は見つかっていないものの、三淵さんが1982年の退官後に日本女性法律家協会の会長に就任し、第2回国連軍縮特別総会が開かれる際に、他の女性たちと一緒に池袋駅の西口前に立って核兵器廃絶を求める署名活動をしていると紹介。

「彼女はドラマと同じように戦争で最初の夫、それから弟を亡くしています。つまり戦争による被害というのは彼女自身も体験していたわけで、核兵器廃絶への願いは大きかったんだろう、というふうに思うんです。今回のドラマでは原爆裁判と司法の判断を取り上げたんですが、これ、決して終わった話ではありません。この後も原爆の被害、それから核兵器廃絶といった重要性、ぜひ知っていただければ、と思います」と番組を結びました。


(※1)特別保存とは、裁判所が特定の事件記録や書類を通常の保存期間を超えて永久に保存する制度。これは、歴史的または社会的に重要な価値を持つ記録を後世に伝えるために行われる。


【出典参考】2024年9月11日放送NHK「みみより!解説」「虎に翼」解説(7)原爆裁判と核兵器廃絶への願いより



※パレスチナに平和を!イスラエルはガザへの軍事攻撃を止めろ! 

(※緊急行動は終わりました。)


※ #ロシアはウクライナ侵略をやめろ!



※平和、いのち、くらしを壊す 大軍拡・大増税に反対しよう!
■署名用紙は下記「憲法共同センター」ホームページから
https://www.kyodo-center.jp/wp-content/uploads/2023/01/20230123shomei.pdf


※ #統一教会の宗教法人解散を求めます
■署名活動はオンライン署名サイト「Chage.org」で行われます。
https://chng.it/YYVtM9Wr8G



※新たな「憲法改悪を許さない全国署名」にご協力を

(9条改憲NO!全国市民アクション)http://kaikenno.com/?p=1826
■これまで取り組んできた「安倍9条改憲反対!改憲発議に反対する全国緊急署名」に変え、新しい情勢に合わせた「憲法改悪を許さない全国署名」に取り組みます。
■ネット署名 
https://chng.it/R2YgNbLD
■署名用紙(プリントしてお使いください)
署名用紙はこちら


2021年1月22日、核兵器禁止条約が発効へ!
引き続き署名国・批准国を増やし、実効性ある条約に! 
♯日本政府は核兵器禁止条約に背をむけるな
♯米国など核保有国は核兵器禁止条約に参加、署名・批准を


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