自身の被ばく体験から、戦後66年間にわたり被ばく者の治療と核廃絶運動に献身してきた肥田舜太郎医師の歩みを追ったドキュメンタリー。1945年8月6日、軍医として広島陸軍病院に赴任していた際に被ばくした肥田医師は、原爆の衝撃波や熱戦を直接浴びていない人々までもが、次々と原因不明の死を遂げてくのを目の当たりにする。冷戦下で核配備を進める米国は放射線が人体へ与える影響についてのデータを隠匿し、日本政府も内部被ばくについて被ばく者認定を限定するなどし、被ばく者たちは苦悩を強いられていく。
福島原発事故以降、放射能に不安を抱く人々の要望に応え、2012年に95歳となった肥田舜太郎医師は、自身の広島での被爆体験と被爆治療にあたった経験を元に低線量被曝、内部被曝についての講演を日本全国で重ねている。
映画の中で肥田医師は、直接被爆していない人々も、ただ体がだるいといった原因不明の症状を発症していくことの疑問を、戦後30年経った1970年代にやっと理解できるようになったと語る。その理解の元となるのは、アメリカの原発製造会社ウェスティングハウス社に勤めていたスターングラス博士が低線量被曝についての実態を研究した著書『低レベル放射能』である。
スターングラス博士は、原発からは平常の運転時でさえ放射能が漏れていて、その地域の癌の発症率が高いというデータを挙げており、原爆投下後の調査でも低線量被曝の影響をアメリカは意図的に隠してきたと憤る。
2006年にフランス人のマーク・プティジャン監督が描いた本作は、日米両政府が被爆者の実態を隠してきたことを明らかにし、原爆投下から67年経ち、福島原発事故が起こった後でも、日本政府の対応がなんら変わっていないことを訴えるドキュメンタリーである。
<映画『核の傷 肥田舜太郎医師と内部被曝』>
監督・脚本/マーク・ブティジャン
出演/肥田舜太郎
日本語版ナレーション/染谷将太
(フランス/2006年/53分/配給・宣伝 アップリンク)【同時上映】
<『311以降を生きる:肥田舜太郎医師講演より』>
(日本/2012年/約27分/アップリンク製作)
福島原発事故から1年、放射性物質は列島の隅々まで飛散し、すでに安全な場所はない日本でどう生き抜くかを説く肥田医師の講演のエッセンスを記録。日時:2012年6月22日(金) ※開場は各30分前
1、10:30~12:00
(この回上映前に埼玉県原爆被害者協議会の方のあいさつ)
2、14:00~16:20
(この回上映後に肥田舜太郎さんのあいさつ)
3、18:30~20:00
(この回上映前に埼玉協同病院副院長・雪田慎二さんのあいさつ)
会場:埼玉会館小ホール料金:電話予約 1,000円
当日券 一般 1,200円
学生・障がい者・シニア(60歳以上) 1,000円
小中高校生 800円共催:医療生協さいたま中部地域、埼玉映画文化協会
後援:埼玉県民主医療機関連合会
問合せ:埼玉映画文化協会
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